イリーナ・メジューエワ/ショパン2010
いずみホールへ。
イリーナ・メジューエワによるショパン名曲コンサート。
- 夜想曲 第20番
- 即興曲 第4番「幻想即興曲」
- ワルツ 第6番「小犬」
- ワルツ 第9番「告別」
- 練習曲 op.25-1「エオリアン・ハープ」
- 練習曲 op.25-2
- 練習曲 op.10-3「別れの曲」
- 練習曲 op.10-12「革命」
- 夜想曲 第2番
- ポロネーズ 第6番「英雄」
- 夜想曲 第15番
- ピアノ・ソナタ 第3番
メジューエワはロシア生まれ。モスクワでピアノを学び、97年からは日本を拠点に活動している。今年リリースしたショパンの練習曲集、前奏曲集、夜想曲集のCDはいずれも「レコード芸術」誌の特選盤に選ばれ、しかも音楽評論家が手放しで絶賛している。今年のレコード・アカデミー賞は、きっと彼女が受賞するだろう。
僕は日頃から、ショパンの音楽を主観的・自己陶酔的に弾くのは間違いだと考えている。だから思いっきりテンポ・ルバート(テンポを自由に動かすこと)をかけたショパンの演奏は大嫌いだ。先日聴いたダン・タイ・ソンの演奏にはそれがなく小気味よかったし、機械的とも言えるポリーニの演奏も好きだ。「抑制」があってこそ、「自由」が活きるのである。
メジューエワの弾くショパンは、ほのかな翳りや哀しみの色はあるが、決して感傷に溺れない。彼女の演奏には節度と、洗練された抒情がある。
そのしなやかな指から紡ぎ出される一音一音は磨き上げられ、しっかり自己主張する。どんなに速いパッセージでも疎かにされる音はなく、それぞれが均一で、明快に響く。
例えば英雄ポロネーズ。彼女はフォルテッシモでも決して力任せに鍵盤を叩かない。しっかり制御された、繊細な表現力がある。しかし左手は強靭なリズムを刻み、ポロネーズが元々ポーランドの舞曲であった事を、鮮烈に描出するのである。
聴き応えのある充実した演奏会だった。メジューエワはぴょこぴょこお辞儀して、アンコールも3曲と大サービス。日本語も上手で、とっても感じのいい女性だった。
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