大阪府立淀川工科高等学校(淀工)吹奏楽部のお膝元、守口市市民会館(モリカン)へ。

まずは2010年吹奏楽コンクール課題曲から。淀工はコンクール全国大会3年連続出場につき、今年は規定によりお休みの年(3出休み)。
オープニングは「潮風のマーチ」。丸谷明夫先生(丸ちゃん)の指揮で快速球。
2曲目は「オーディナリー・マーチ」。「頭は軍艦マーチで、他にも『旧友』とか『祝典序曲』を思わせる箇所もあります」と丸ちゃん。ゆっくり目のテンポでカチッと引き締まったリズム。これぞマーチの王道である(ただ、コンクールでは不利な曲だと思う)。
吹奏楽のための民謡「うちなーのてぃだ」は淀工の卒業生で、同校で教鞭を執る出向井誉之先生の指揮。すっきり、スマートな演奏。
「迷走するサラバンド」について丸ちゃんは「この曲を指揮するのは嫌やなぁ」と、神戸市立有馬中学校の岡本浩志先生に依頼。リハーサルは10分しかなかったそう。「生徒がついてこれるか……」との丸ちゃんの心配をよそに、破綻のない演奏だった。岡本先生の感想は「死ぬほど緊張しました」と。
ここで会場へのアンケートで課題曲に選ぶ学校が最も多いことが判明した「潮風のマーチ」をもう一度。今度は指揮希望者を客席に募ると、全く楽器経験がなく、譜面も読めないという一般男性が手を挙げた。丸ちゃんが「こんなに長いマーチとは思っていなかった」と言うくらい超スローテンポで演奏され、場内は笑いの渦に。男性の感想は「死ぬほど足が震えました。でも気持ち良かったです。病みつきになりそう」
ここまでは星組の演奏。そして2・3年生全員がステージに座り「アルメニアンダンス・パート I」(A.リード)。これは6月27日に京セラドーム大阪で開催される「3000人の吹奏楽」において、佐渡裕(指揮)/1300人の学生たちで演奏される。
「吹奏楽を出来るだけ一般の人々に知ってもらいたいと佐渡さんにお願いしました。佐渡さんは来年ベルリン・フィルの定期演奏会の指揮台に立たれますが、忙しいスケジュールをやり繰りして快諾して下さいました。アルメニアンダンス・パート I がベートーヴェンの第九シンフォニーやグレン・ミラーのイン・ザ・ムードみたいに誰もが口ずさむ曲になってほしいとの願いを込めて、これから演奏します」と丸ちゃん。終曲"Gna, Gna"《行け、行け》の畳み掛ける加速が凄かった。
休憩を挟み第2部はOB登場。約1700名の卒業生のうち60名による演奏。まずは灼熱のスペイン音楽「アムパリト・ロカ」(J.テキシドール)。丸ちゃんは容赦ないテンポでぶっ飛ばし、OBも軽々とそれについてゆく。
続いて「お楽しみコーナー」は曲当てクイズとOB紹介。淀工を卒業してすぐ就職する人が大半だが、中には中学や高校の先生になったり、大阪音楽大学在学中の人も。ちなみに佐渡さんが芸術監督を務める兵庫芸術文化センター管弦楽団(PACオケ)クラリネットのコア・メンバー、稲本渡さんも淀工出身者である。一体ここは、本当に工業高校なのか??
岩井直溥編曲による「サウンド・オブ・ミュージック」メドレー(サウンド・オブ・ミュージック~ドレミの歌~ひとりぼっちの羊飼い~さようなら、ごきげんよう~エーデルワイス~すべての山に登れ)で第2部は〆。
第3部は2・3年生全員で淀工十八番の「カーペンターズ・フォーエバー」(真島俊夫 編)から。
大序曲「1812年」(木村吉宏 編)は大砲の代わりに大太鼓4つ。2つがステージ上で残る2つが客席中央左右。そしてOBによるバンダ(金管別働隊)が客席後方にずらりと並ぶ。ド迫力のサウンドに痺れた。
「ザ・ヒットパレード」は(パラダイス銀河~ホップ・ステップ・ジャンプ~嵐メドレー~幸せなら手をたたこう~3-3-7拍子~六甲おろし~明日があるさ~We Are The World)という構成。
これは新一年生全員が踊りで参加。数えてみると男子生徒がざっと40人、女子生徒が26人くらい。今年も元気な子たちが沢山入った。
アンコールは「ジャパニーズ・グラフティIV」(お嫁においで~サライ)、そして客席全員が歌に参加して「ふるさと」、そして最後は賑やかに「星条旗よ永遠なれ」。
18時半開演で、終わってみれば21時20分。長丁場だったが、途中飽きることなく堪能させてもらった。
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