「アリス・イン・ワンダーランド」3D字幕版
評価:B
ティム・バートン監督は今年、カンヌ国際映画祭で審査委員長を務めた。彼が賢いのは、北野武監督「アウトレイジ」に賞を与えなかったこと。日本人もそろそろ、北野武の才能が枯渇した(蓄えを使い果たした)ことに気付くべきである。それにしてもことごとく興行的に失敗している彼に、いまだ出資しようという奇特なプロデューサーがいることが、僕には信じられない。
さて、「アリス・イン・ワンダーランド」映画公式サイトはこちら。
プロローグとエピローグの現実シーンは演出が生彩を欠いたが、不思議の国に入るやいなや、ティム・バートン節炸裂!クレイジーで、「おかしなおかしなおかしな世界」が展開される。これぞ真骨頂。3D効果もワンダーランドで初めてその威力を発揮した。愛嬌があるクリーチャーの造形、奇妙奇天烈な美術、そして洗練された衣装(「シカゴ」「SAYURI」でアカデミー衣装デザイン賞を受賞したコリーン・アトウッド)が素晴らしい。
音楽のダニー・エルフマンが久しぶりにいい仕事をした。児童合唱が入るテーマ曲が秀逸。「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」とか「チャーリーとチョコレート工場」など、この人はティム・バートン作品でこそ、その本領を発揮する。朋友とのコンビなら、遠慮なく大暴れできるのだろう。
アラン・リックマン(「ハリー・ポッター」のスネイプ先生)やクリストファー・リー(「スター・ウォーズ」のドゥークー伯爵、「ロード・オブ・ザ・リング」のサルマン)が声の出演をしているのも嬉しい。
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コメント
私も3D版を見ましたが、通常版の方が色彩が綺麗だったと聞きました。
>彼が賢いのは、北野武監督「アウトレイジ」に賞を与えなかったこと。日本人もそろそろ、北野武の才能が枯渇した(蓄えを使い果たした)ことに気付くべきである。
私は個人的に北野作品が嫌い。というか予告編とか評判を聞いて敬遠してしまい実のところ1作として最初から最後まで観てませんから失礼な発言かもしれません。
でも、どす黒い暴力作品や、やくざもの、タップダンスする市とか・・・どの道性に合いません。
投稿: jupiter | 2010年6月 5日 (土) 01時47分
jupiterさん、コメントありがとうございます。3Dはどうしてもメガネのフィルターがかかるので色彩的には不利ですね。一番鮮明なのはIMAX版だそうですよ。しかし関西にアイマックスは千里中央(箕面)にしかなく、しかも料金が高い(2,200円)のが難点です。
北野映画で僕が好きなのは「キッズ・リターン」くらいかな。ヤクザものは「ソナチネ」が作家としてのピークで、後はその自己模倣に過ぎません。
投稿: 雅哉 | 2010年6月 5日 (土) 07時37分