クロッシング
評価:B
2009年米アカデミー賞映画外国語映画部門に韓国代表として出品されるが、ノミネートには至らず(アカデミー賞ノミネートは韓国の悲願だが、今まで一度も実現していない)。なお、2009年は日本代表の「おくりびと」が外国語映画賞を受賞した。
公式サイトはこちら。
北朝鮮からの脱北者をテーマにした作品。実際の脱北経路が撮影された。まず北朝鮮から川を渡って中国へ密入国し(見つかった者は射殺される)、そして北京駐在の外国大使館へ駆け込むルート(実際、2002年に脱北者25名がスペイン大使館に駆け込み、亡命に成功している)。そして映画のクライマックスでは中国に入った後モンゴル国境へ車で向かい、鉄条網を掻い潜ってモンゴル軍に保護を求めるルートが描かれる。
100人近い脱北者に取材し、北朝鮮の田舎の村を再現したオープン・セットや、強制収容所のリアルな描写も凄い。
それにしても北朝鮮の貧困は想像を絶するものがある。同じ人間の暮らしとは到底信じられない。その悲惨な実情を目の当たりにすると胃がキリキリする。エンド・クレジットに至っての僕の率直な感想は「日本に生まれて、本当に幸運だった」……見て、そして知っておくべき映画である。
哀しく絶望的な物語だが、雨のシーンや少年と少女が自転車に乗る情景など詩情溢れる場面もあり、心に残る作品であった。
僕の隣に座った男性が映画の半ばくらいで鞄からティッシュを何枚も取り出し、しきりに涙を拭っていた。また場内が明るくなり席を立つと、次のような女性たちの会話が耳に入った。
「それにしても(映画に)子供を使うなんてズルイよね。してやられた」「ほんとほんと。反則だわ」
僕も全く同感。ある意味ロベルト・ベニーニ監督・主演のイタリア映画「ライフ・イズ・ビューティフル」(ナチス・ドイツの強制収容所送りになった親子を描く)に通じるものを感じた。
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