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2010年5月12日 (水)

桂吉弥「地獄八景亡者戯」「高津の富」@サンケイホールブリーゼ

サンケイホールブリーゼへ。

K1

桂吉弥さんの独演会。

K2

旧サンケイホールは桂米朝さんや桂枝雀さんの独演会が開催された、米朝一門のホームグラウンドである。「枝雀十八番」という六日間連続公演は、チケット発売初日に全日程完売したことが今でも語り草となっている。

  • 桂吉の丞/子ほめ
  • 桂歌之助/佐々木裁き
  • 桂   吉弥/高津の富
  • 桂   吉弥/地獄八景亡者戯

吉の丞さんは威勢よくトントンと。

歌之助さんは相変わらず使いまわしのマクラ。

吉弥さんの「高津の富」(こうづのとみ)は一度聴いたことがあるが、今回も絶品だった。このネタに関しては現在、彼の右に出る者はいないだろう。からっと明るく、晴れ渡った空のような高座。実に華やかで清々しい。

地獄八景亡者戯」(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)は殆ど、桂米朝さんが再創造(Re-create)された、1時間を越える上方落語屈指の大作。「これを演じるにあたり、『しょーもないところを省いたら?』と人から言われたこともあるのですが、そうすると後に何も残りません」とは吉弥さんの弁。「落語によくある、仕込み・伏線といった類も皆無です」

僕も吉弥さんの意見に全く同感である。確かに大ネタではあるが、構成は緩い。ユルユルである。群像劇ともいうべき地獄巡りの”旅ネタ”であり、主人公が途中でコロコロ代わる。ある意味散漫で、どういう時事ネタを盛り込み聴衆を笑わせるか、演者のセンスが問われる。つまり自由度が高い。これについては笑福亭たまさんが面白い分析をされているので、ご紹介しておく→たまさんのブログ

だから「地獄八景」は完成度が高い優れた作品では決してない。しかしある意味、上方落語の集大成であるとは言えるだろう。ふぐに当たって死ぬというエピソードは「らくだ」だし、「東の旅・発端」「軽業」「三十石」「野崎詣り」「愛宕山」「夏の医者」といった古典落語のエッセンスが、これでもかっ!というくらい詰め込まれている。たっぷり聴き応えはある。

吉弥さんは噺の前半、舞妓さんのびらびら簪(かんざし)を表現する場面で、しきりに瞬きをする演出で大いに笑わせてくれた。何とも愛嬌がある。

ソーラン節や民謡「会津磐梯山」を歌ったり、時事ネタでは「事業仕分け(蓮舫議員)」や「沢尻エリカ」などが登場。また突然舞台が暗転、ミラーボールが廻りだし、スポットライトを浴びた吉弥さんが森繁久弥の「知床旅情」を朗々と歌い上げる場面も。マイケル・ジャクソンのムーンウォークも飛び出した!中々愉しい趣向であった。

ただやはり非常に長丁場なので、終演時には疲労感に襲われ、ぐったりしたのも事実である(18時半開演で、終わったのは21時半くらい)。

1984年3月28日、桂枝雀さんは東京・歌舞伎座で「第一回桂枝雀独演会」を開催、仲入り後にこの「地獄八景」を高座に掛けた。会が終わり緞帳が下りても、興奮した観客の拍手が鳴り止まず、歌舞伎座としては異例のカーテンコールになったという。

正直今回、拍手をし続けるほどの気力・体力が僕には残っていなかった(他の聴衆もあっさり席を立った)。

やっぱり桂枝雀という人は桁外れの才能を持った、恐るべき噺家だったのだなと感慨を新たにした、今日この頃でございます。

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コメント

こんばんは
私も雅哉さんと同じような思いでした。
吉弥さんの張りのあるいいお声と切れ味のいい落語
『高津の富 』は非の打ちどころなし、という感じ。
もう、何もかも分かっている展開で涙が出るほど笑わせて貰いました。抜群でしたよねぇ
『地獄八景・・』を2部で一気に、というのもやや冒険だったかなと思います。吉弥さんも、それを承知で色々メリハリをつけようと大変努力されて(ミラーボールのところとか!)その結果吉弥さんにもお疲れが見えました。
『九寸・・クスン』のところで思わずミス,えぇ~吉弥さんが・・・ビックリでした。
お念仏のところのランクの話とかも割愛されたのでしょうか、『短縮するところがない』と、おっしゃってたようにやはり難しい演目ですよね。
でも本当によく頑張れられた吉弥さんにはエールを送りたいです!
私は2階で『エンマの顔』よく見えませんでした。
どんなでした?お顔が可愛いので似合わないのでしょうか(笑)
余談ですが、枝雀さんの『地獄八景・・』はもぉ本当に凄いです。
畳み掛けるように聴き手を飽きさせない弁術、間合いのよさ、豊富なネタ・・・芸術そのものです。
長々とすみません

投稿: jupiter | 2010年5月12日 (水) 23時30分

jupiterさん、コメントありがとうございます。

僕は1階席でしたが、吉弥さんの閻魔の顔は中々面白かったですよ。悪くなかったです。

枝雀さんの「地獄八景」は生でご覧になったのでしょうか?もしそうなら、本当に羨ましいです。DVDも出てはいますが、余り評判が芳しくないので僕は観ていません。それに「地獄八景」は何と言っても時事ネタが命ですので、リアルタイムで観ないと余り意味がないように想うのです。

投稿: 雅哉 | 2010年5月13日 (木) 00時10分

一寸時間が経ってしましましたが,吉弥独演会楽しい時間でした。

「これを演じるにあたり、『しょーもないところを省いたら?』と人から言われたこともあるのですが、そうすると後に何も残りません」

このくだりは、吉朝さんのまくらをそのまま受け継いでますね。さすがにお弟子さんですね,サンケイでの独演会と言う吉朝一門には思い入れがあるのでしょうか,全体的に吉朝版地獄のギャグを多く受け継いでいて,吉弥さんの師匠への思いが表れているのかもと思いました。

投稿: すーさん | 2010年5月23日 (日) 20時08分

すーさん、コメントありがとうございます。

吉弥さんはしっかり師匠の「地獄八景」を受け継いでいるのですね。吉朝版も聴いてみたかったです。そういえば枝雀さんのDVDは沢山市場に出回っていますが、吉朝さんのDVD「吉朝庵」は2種類しか出ていません。それも内容的に余り評判が芳しくないようで。

是非お弟子さん達が音頭を取って、体系的な吉朝の映像シリーズを出して欲しいものです。

投稿: 雅哉 | 2010年5月23日 (日) 21時57分

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