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上方落語新時代!

NHK朝ドラ「ちりとてちん」(2007年10月-2008年4月)放送以来、空前の上方落語ブームは続いている。

入門者も後を絶たない。例えば今年、2010年に入門した噺家で僕が知っている人を列挙すると……

桂吉弥さんに弟子入りした弥生さん、月亭八天さんに入門した天使さん(すごい名前だ)、桂雀々さんに入門した鈴々(りんりん)さん、桂米輔さんに入門した鞠輔(まりすけ)さん。5月末の時点で既に4人もいる(他にもいらっしゃるかも知れない)。そして注目すべきはこの全員が女性であること。

ここで、桂米朝さんが昭和五十年(1975年)に書かれた名著「落語と私」から引用してみよう。

 落語という芸は二百数十年の間、男がやるものであったので、あらゆる技巧が全部、男のための技巧であり、男がやる場合の研究としてのみなされてきたのです。男が女を表現してもさほど違和感を持たないのに、女の落語家が、男を演じたらおそらくお客はなかなか話の中に溶け込んでくれないでしょう。
 この違和感というやつが落語の場合、非常に困るものなのです。
(「女の落語家はなぜいない」)

この本が書かれてから35年。正に隔世の感がある。だが、米朝さんはこうも書かれている。

 しかし、わたしは女性の落語家を否定はしません。かならず、女がやるならそのやり方があるはずです。要はうんとうまい人がでてきたらよいのです。(中略)わたしはそんな日がくるのを歓迎します。

米朝さんが予言した、新しい時代がいま正にそこにやって来ている。そのダイナミズムを僕はひしひしと感じる。

朝ドラ「ちりとてちん」のヒロイン”喜代美”は古典落語でプロとしての壁にぶつかり、師匠から「お前は創作をやれ」と言われる。これは実際、桂あやめさんが文枝師匠から受けた助言の引用である。あやめさんの創作落語は女性らしい実感に基づく、男では絶対に書けない素晴らしい作品が並ぶ。

天使さんは入門前、落語の台本を書かれていたこともあるそうだ。また弥生さんは数年前「彦八まつり」のコンテストで【小ばなし部門】大賞を受賞されている。

増え続ける女性落語家。彼女たちの中からきっと、あやめさんの後に続く新作派の気鋭が育っていくに違いないと、僕は期待している。

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