ブラームス探訪Ⅰ/大阪交響楽団 定期
ザ・シンフォニーホールへ。
寺岡清高/大阪交響楽団の定期演奏会。
児玉宏さんが音楽監督に就任して以降、ここの定期は意欲的内容でとても面白くなった。それにしても来シーズンの「名曲コンサート」には度肝を抜かれた。なんとライネッケ/交響曲 第1番!「貴方にとって名曲とは何ですか?」という問いを突きつけられたようなもので、児玉さんからの大胆極まる挑戦状である。
さて今回の曲目は、
- ブラームス/セレナード 第1番
- ブラームス/ピアノ協奏曲 第1番
独奏はウィーンやらやって来た若手、クリストファー・ヒンターフーバー。
昨シーズンに聴いた寺岡さん指揮するベートーヴェンの解釈には疑問を感じた。大植英次さん同様、後期ロマン派以降の観点・価値観から捉えたベートーヴェン像だったからである。
でも今回のブラームスは中々良かった。寺岡さんの資質に向いていると想った。
滅多に演奏されない「セレナード」は生まれて初めて聴いた。のびやかに歌い、明朗。生き生きした青年ブラームスがそこにいた。
一方、ほの暗い情熱を秘めて燻るコンチェルトを聴くと、ある映画のことを想い出す。
クララが弾くピアノ協奏曲第1番を、ブラームスが目に涙を浮かべながら聴いているラストシーンがとても印象的であった。
ヒンターフーバーのピアノは達者で、ミス・タッチはなかったが、多くのピアニストが抱える技術的問題が些か気になった。親指や人差し指に比べると、薬指や小指の圧力(叩打力)が弱いので、音が均一に響かないのである。先日聴いたダン・タイ・ソンは全くそんなことがなかったので、これが実力の差というものかなと想った。
まあ、ピアノが主役でオケはあくまで添え物に過ぎないショパンのコンチェルトに対し、ブラームスはオケが大活躍し、むしろ交響曲に近いので、大した問題ではなかったのだが。
ヒンターフーバーについてはアンコール「シューベルト/4つの即興曲より第2番」の方が良かった。
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