月亭遊方のゴキゲン落語会(5/13)と、「とくとくレイトショー」(5/15)
ワッハ上方、小演芸場へ。
月亭遊方、The One and Onlyの会。遊方さんはいま上方で一番勢いがあって乗っている、旬な噺家である。
- 開幕前戯噺(遊方の日常あれこれ)
- カリスギ理容室(遊方 作)
- スクールバスターズ(遊方 作)
開幕前戯噺では引越しや結婚に纏わるあれこれを。「結婚したらお客さんが減るで」と言われたことについて、「そんな、桂よね吉くんみたいな男前やないんやから……」と。やはりその名前が出るか!と、僕は密かにニヤニヤした。また、結婚発表をした4月4日繁昌亭の「レスキュー遊方!」にどれくらい来ていたか客席にアンケートすると、なんと7-8割の手が上がった。遊方ファンの結束は固い。
出版されたばかりの「よしもと落語の世界」で遊方さんは古典落語《百年目》に登場する桜之宮(桜の名所)を紹介するコーナーを担当。「なんで(新作派の)僕が《百年目》なんですか?」と訊くと、「いや、遊方さんは米朝一門だから」との答え。「僕、米朝一門ちゃいますし、そもそも花見が嫌いなんです」
また桂きん枝さんが選挙に出るため、その穴埋めで仕事が増えた”きん枝バブル”のことや、(弟弟子)八天さんに”天使”という弟子が出来たことに触れ「これで暫くの間、月亭一門が途絶えそうにないのでホッとしました」と。
《カリスギ理容室》は散髪の場面で”紙切り”の手付きとなり、ハメモノ(お囃子)も入るという愉しい趣向あり。
いじめ問題を扱った《スクールバスターズ》は滋賀県教育委員会の先生方の前で披露し、ダメ出しがあった箇所を手直ししたもの。それでも相当ブラックなユーモアが溢れ、爆笑篇に。
さてその二日後(土)、鯨料理・徳家3Fで開催される「とくとくレイトショー」(第3回)へ。こちらも遊方さん唯ひとりの会。
第1回、2回目は21時開演だったのが、第3回から急遽21時20分に変更となり、問い合わせの電話が数本あったとか。というわけで21時ちょうどに遊方さんが登場し、20分まで更にお客さんが来るかも知れないと、ゆるり雑談を。十数年前、遊方さんが書き込みをしたボロボロのネタ帳(プロになって一冊目)を持ち出し、その内容を紹介するコーナーとなった(実際その間に1人増え、客は12人となる)。貴重な話が聴けて、得した気分。創作の秘密を垣間見た想いがした。
- 公園の幼児ん坊(遊方 作)
- わすれうた(遊方 作)
落語というのは聴き手のイマジネーション(想像力)の助けを必要とする芸。《公園の幼児ん坊》は二人の父親が登場し、その会話により、さらに目の前で遊ぶ子供たちを思い描かなければならないという二重構造となっている。それがどうも落語に慣れてない人々には難しいようで、遊方さんがこれを繁昌亭昼席に掛けても反応が今ひとつだという。しかし十分面白い噺だし、完成度はきわめて高い。
《わすれうた》は物忘れの激しい主人公が事態を混乱させ、それが雪だるま式に膨れ上がってゆく。ある意味《くっしゃみ講釈》に通じるものがある。また、遊方さんの顔芸がすこぶる可笑しい!
深夜の秘密倶楽部めいた、ディープな会を堪能した。次回は6月15日。
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