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2010年5月19日 (水)

鶴瓶と笑子と三四郎 落語会

天満天神繁昌亭へ。笑福亭鶴瓶さんがプロデュースする会。

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「鶴瓶と誰かと鶴瓶噺」は2007年にここ繁昌亭で開催されたが、その時クレームがつけられたそう。理由は「チケット代が高すぎる」から(ちなみに今回の料金は4,500円だった)。「分かりました。じゃあ他所でやります」ということになったのだが、やっぱり繁昌亭でもやって欲しいというリクエストが再び来て、今回の若手版が開催されるに至った。「落語会の値段を全体として引き上げたいという狙いが僕にはあるんです。下座さん(三味線など)を含めて、もっと潤うように」と。以前、鶴瓶さんが露の都さんとしていた落語会は和菓子付きでたった500円だったとか。「都は出演料として僕に1万円包んで渡そうとするんです。そんなの貰えますか!?」

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  • 鶴瓶噺
  • 笑福亭笑子/動物園
  • 笑福亭鶴瓶/私落語○○○(くまざわあかね 作)
  • 桂   三四郎/17歳(三四郎 作)
  • 笑福亭鶴瓶/死神

鶴瓶噺は三人が私服で舞台に立って。笑子さんと三四郎さんは2004年入門。たった二人っきりの同期だそうである(笑子さんが鶴笑師匠に弟子入りしたのはロンドンにて)。笑子さんは夫(オーストラリア人)の仕事の都合で現在シンガポール在住。あちらは好景気に沸いているが、その分物価は高いとか。

今回ネタおろしとなった私落語(わたくしらくご)○○○は3文字。でもここで具体的に書くことはちょっと憚られる。鶴瓶さんと高校の同級生だった主人公が、娘から鶴瓶さんのサインを貰って欲しいと頼まれるところから噺は始まる。後半、鶴瓶さん本人も登場。この同級生の髪の毛がちりちりパーマだったことから、高校時代に付けられたあだ名が○○○。鶴瓶さんが出演した「FNS27時間テレビ」(2003年)での”事故”に関連しているとだけ、ヒントを出しておく。鶴瓶さんは「春團治師匠も見はる、繁昌亭のネタ帳にこの演題は書き難い」と仰っていた。いやぁ、もう抱腹絶倒の爆笑篇だった。くまざわあかね(旦那は、同じく落語作家の小佐田定雄)さんの台本の出来が余りにも良かったので、殆ど変えずに演じられたとか。ちなみに鶴瓶さんが今まで高座に掛けたネタの数は42本で、うち9作品が私落語だそうである(本作以外は全て自作)。

三四郎さんは今回、鶴瓶さんと共演することを三枝師匠に報告すると、非常に御機嫌だったとか。彼は6月第1週に放送される「爆笑レッドカーペット」にも出演が決まっており、「入門以来、あんなに嬉しそうな師匠の顔を見たことがありません」と。

僕が「17歳」を聴くのはこれが2回目だが、今回はマクラの出来が抜群によく、初めて三四郎さんの高座を面白いと想った。鶴瓶さんとの共演で、張り切っていたのだろう。「楽屋であいつは稽古もせんと、鏡の前で髪の毛ばかり弄くっていました」と鶴瓶さん。

三四郎さんが客席によく受けていたので、鶴瓶さんの二席目はマクラを振らず、いきなり本編に突入。

死神」は初代・三遊亭圓朝(幕末~明治)がグリム童話「死神の名付け親」を基に翻案したもの。圓朝版では死神はヨボヨボの爺さんだが、鶴瓶版では夜鷹風情の若い女に変更されている。サゲもオリジナル。「このネタを演じる前に、必ず圓朝の墓参りをして『勝手に変えてすみません』と謝るんです」と鶴瓶さん。僕は2008年に鶴瓶版「死神」を兵庫芸文で聴いたことがある。其の時は余り感銘を受けなかったのだが、今回は何かが違った。ぐいぐいと物語の世界に引き込まれたのである。落語家・笑福亭鶴瓶は日々、進化を遂げている。

なお、鶴瓶さんが「死神」を大阪で初めて演じたのは桂三金さんが世話方を務める落語会で、なんと救急病院の2階(!)で開催されたものだとか。腕に点滴をした患者さんが大勢詰め掛けたそうで、なんともシュールな状況である。

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