霧矢大夢 主演/宝塚月組 ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」
宝塚大劇場へ。
宝塚月組によるブロードウェイ・ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」を観る。演出・潤色は宝塚歌劇団のエース・小池修一郎さん。
このプロダクションは2008年に星組で上演され、読売演劇大賞優秀作品賞および菊田一夫演劇大賞を受賞。「月刊ミュージカル」誌の2008年度ミュージカル・ベストテンで堂々第1位に輝いた。
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今回のキャストは霧矢大夢(きりやひろむ)、蒼乃夕妃、龍 真咲、明日海りお 他。
きりやんは持ち前の明るさと見事な歌唱力で、文句なしの”パーシー・ブレイクニー”(「スカーレット・ピンパーネル」のリーダー)を演じた。大スターのオーラが眩しかった。
フランス革命政府全権大使”ショーヴラン”は役代わりで、僕が観たのは龍 真咲さん。耽美系でビジュアル的には悪くないのだが、歌唱で低音が全然出ないのは困ったものだ。「コーラスライン」のナンバー"Dance: Ten; Looks: Three"をもじるなら"Looks: Ten; Song: Three" (ルックス10点、歌は3点)といったところか。そういう意味では彩輝なおさんに近いタイプの男役だなと感じた。この役は明日海りおさんの方で観たかったなぁ。
ヒロインを演じる蒼乃夕妃さんは可もなく不可もなし。フランク・ワイルドホーンの楽曲は転調に次ぐ転調が特徴的なのだが(そこが魅力でもあり、難しいところでもある)、その転調に彼女の音程が付いていけてない印象を受けた。しかしフィナーレでのデュエット・ダンスは回転が速く、切れがあったので、もしかしたら彼女はシンガーではなく、ダンサーなのかも知れないなと想った。
それにしても久しぶりにスカピンを再見して、これは本当に見応えのあるミュージカルだなと感動を新たにした。何といっても曲が良いし、ゴージャスなコスチューム・プレイであるところも宝塚に似合っている。
宝塚版の為に書き下ろされた新曲「ひとかけらの勇気」も魅力的で、これが繰り返し登場することで物語と有機的に結びついている。
流れるように鮮やかな小池演出も傑出している。特に「炎の中へ(Into the Fire)」という1曲を歌う間に、ブレイクニー邸の図書室(イギリス)からドーバー海峡を渡るデイドリーム号甲板を経て、パーシーとその仲間たちがフランスに上陸するまでを一気に見せる場面は圧巻。
宝塚歌劇は正に”夢”の世界。そしてその究極のエッセンスが、スカピンに凝縮されている。必見。
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コメント
龍さんは本来歌の上手なジェンヌさんなのですが、今は喉を潰してしまい本来の声が出ない中、旋律を変えて頑張って歌っています。今回の観劇でがっかりしてしまったかもしれませんが本調子の龍さんもまた機会があったら観てくださいね。
投稿: ぐみ | 2010年4月23日 (金) 16時11分
ぐみさん、コメントありがとうございます!
龍 真咲さんは「エリザベート」のルキーニも観ましたが、あちらは確かに今回ほどコンディションが悪くはなかったですね。
まあ僕はきりやんが好きなので、今後もまた月組を観に行くつもりです。その時こそは本領発揮を期待したいです。
投稿: 雅哉 | 2010年4月23日 (金) 19時25分
コメント、今更ですが…
初めて読ませて頂いてコメントしたくなったので…。
その通り!蒼乃夕妃さんはダンサーなのです!!
スカピンでは以前に比べるとかなり歌えるようになったので、今後も見守ってください。
ぜひショーで本領発揮した彼女の姿を観ていただきたいです!
投稿: るぅ | 2010年7月13日 (火) 08時44分
るぅさん、ヅカファンからのコメント、とても嬉しいです!
次回月組公演「ジプシー男爵」、会員先行販売で生まれて初めてSS席をget出来ました!天にも昇る気持ちです。
蒼乃夕妃さんのダンス、堪能してきます。
そうそう、僕はここ20年くらいで宝塚最高のダンサーは風花舞さんだと想っています(彼女も歌は下手でした)。風花さんの代表作は何と言っても「CAN-CAN」。また是非、月組で再演して欲しいですね!
投稿: 雅哉 | 2010年7月16日 (金) 19時13分