忘れないでね笑子
繁昌亭へ。
笑福亭笑子さんのオーストラリア人の夫がシンガポールで就職することとなり、彼女も移住することになった。その壮行会とも言うべき落語会が開催された。
そもそも笑子さんはラジオ・パーソナリティーとしてシンガポール滞在中、世界的に活躍する笑福亭鶴笑さんのパペット落語を見て感動、弟子入り志願するが(本気かどうか判断がつかないと)その場では聞き入れられなかった。その後師匠がロンドンに拠点を移した際、一日早く現地に到着しヒースロー空港で再び願い出て、やっと入門が許されたという経歴の持ち主。
- 桂ぽんぽ娘/十徳
- 笑福亭たま/憧れの人間国宝(たま 作)
- 林家染雀/宗論
- 笑福亭笑子/グローバルな腹話術
- 桂あやめ/義理ギリコミュニケーション(あやめ 作)
- 笑福亭鶴笑/パペット落語「ザ・サムライ(ザ!忍者)」
- 三金・ぽんぽ娘・たま・あやめ・染雀・文福/座談会
- 笑福亭笑子/ザ・宿替え
たまさんの新作は一年前のネタおろしから聴いている。初演時になかった噺の前半部が付け加えられ、くすぐり(ギャグ)がさらに工夫され、聴く度にどんどん面白くなっていっている。「らくだ」「算段の平兵衛」等、古典落語をちゃんと踏まえた構成になっているのもお見事!
最近、中国の楽器・二胡を習っているという染雀さん。「宗論」のマクラ、幽霊が妖しい雰囲気があってよかった。また、あやめさんとコンビを組み音曲漫才「姉様キングス」をやっているだけに、歌も上手い。
笑子さんの腹話術はマイケル・ジャクソンの人形が登場し、「スリラー」の音楽に合わせてムーン・ウォークを披露。骸骨・妖怪(ゾンビ?)の類が出てきたり、釣竿で宙を舞ったりと、鶴笑さんの芸をしっかり受け継いだものに仕上がっていた。
「義理ギリコミュニケーション」はあやめさんの最高傑作ではなかろうか?エコや有機農産物が大好きな嫁と、そんなことに頓着しない姑との確執を面白おかしく描く。噺の終盤に出てくる捕鯨問題は丁度今、長編ドキュメンタリー部門でアカデミー賞を受賞した「The Cove」(入り江)の日本公開をめぐって(和歌山県太地町の抗議など)話題になっている所なので、タイムリーと言えるだろう。
鶴笑さんのパペット落語は、七転八倒の大爆笑コメディ。なんと今回は特別に英語バージョン!でも単語と内容はシンプルなので、客席のお年寄りたちも腹がよじれるほど笑っていた。いやはやCrazyで圧巻。
座談会では世界三大コメディ・フェスティバルの一つ、スコットランド・エディンバラでの想い出を。なんとここでは色々な芸人が1500もの公演で競うとか。鶴笑・笑子の師弟と共に、あやめ・染雀も「姉様キングズ」として参加したそう。
ここで桂文福さんが登場し、笑子さんの為にお目出度い相撲甚句を披露。
トリの古典落語「宿替え」は登場人物を替え、”綾子”(笑子さんの本名)と”ゴンザレス”の国際結婚夫婦の噺(グローバル・バージョン)に。中々ユニークなアレンジで愉しめた。
笑子さんは今後も時々帰国し、5月の繁昌亭昼席などに出演する予定。
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