第9地区
評価:B+
プロットといい、ノリといい、あくまでB級映画以外の何ものでもないが、畳み掛ける展開、息もつかせぬアクション・シーンの連続に驚愕。アイディアがぎっしり詰まった極上のエンターテイメントに仕上がっている。
アカデミー賞では作品・脚色・編集・視覚効果賞の4部門にノミネートされた。映画公式サイトはこちら。
ニール・ブロムカンプ監督の短編「アライブ・イン・ヨハネスブルグ」をセルフ・リメイクしたもの。これが長編デビュー作となる。オリジナル版はこちらで観ることが出来る。
この6分半たらずの短編を観て監督の非凡な才能を見抜き、劇場映画プロジェクトにGOサインを出した、プロデューサーのピーター・ジャクソンはさすがである。ゆえに「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでオスカーを受賞した特撮工房WETAが全面協力し、万全のバック・アップ体制を敷く。
主演のシャールト・コプリーは監督の高校時代の友人。短編オリジナル版にも出演している。
エイリアンは南アフリカの首都ヨハネスブルクに流入する難民のメタファーであり、主人公を巡る壮絶な争奪戦は、ブラッド・ダイアモンドを彷彿とさせる。ヨハネスブルクという舞台装置(=カオス)が生きているのがお見事!これは必見。
それにしても主人公のDNAが変異して体の一部(左手)だけエイリアンになるという設定には笑った。その馬鹿馬鹿しさはヴィンセント・プライス主演のB級SF映画「ハエ男の恐怖」(1958)のノリである(頭が蠅で体が人間の状態になる)。ちなみに「ハエ男の恐怖」をリメイクしたのがデヴィッド・クローネンバーグ監督の名作「ザ・フライ」(1986)であり、こちらは主人公の体全体が徐々に変化してゆく。
なお、「第9地区」のオーケストレーション(編曲)にAiko Fukushimaという名前を見つけた。調べてみると、彼女のHPを発見→こちら。日本人の作曲家も世界を舞台に頑張っている。
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コメント
この映画は私も見に行きました。サイコーでしたね!
主役の前半の嫌な奴っぷりは、後半の痛い目に合う時の観客の同情を削ぐためかな?ってくらいすごかったですね。
個人的にはハートロッカーより好きです(*゚▽゚)ノ
投稿: ちかちか | 2010年4月14日 (水) 15時30分
ちかちかさん、仰る通り主人公の「ダメ人間」ぶりが最高でした。それが後半の彼の変貌と、鮮明なコントラストになっているのだと想います。
投稿: 雅哉 | 2010年4月14日 (水) 23時18分