大阪桐蔭、淀工、市音 IN スプリング・コンサート2010
大阪城野外音楽堂へ。「スプリング・コンサート2010 ~吹奏楽トップ・イン・オオサカ~」を聴く。
まずは、初登場となる大阪桐蔭高等学校吹奏楽部から。昨年、全日本吹奏楽コンクールおよび全日本マーチング・コンテストで金賞を受賞した。新一年生を含め、総勢166名。指揮は梅田隆司先生。
「祝典序曲」(ショスタコーヴィチ)~「パリの喜び」( オッフェンバック)の後は、「ウインドオーケストラのためのマインドスケープ」で一世を風靡した、高 昌帥(こう ちゃんす)/ウインドオーケストラのための「ディテュランボス」が演奏された。変拍子で難易度が高い。音楽はうねり、厚みのある音が客席へ押し寄せる。今年の桐蔭はこの曲をコンクール自由曲に考えているのだろうか?
ここで男子生徒と女子生徒が一人ずつ前に出て"Time To Say Goodbye (Con te partiro)"を爽やかにイタリア語+英語で歌った。
そしてNHK大河ドラマ「龍馬伝」オープニングテーマ、「東京ブギウギ」、「サーカス・ビー(Circus Bee)」「銀河鉄道999」が続く。
「サーカス・ビー」は四分音符=200くらいの超高速テンポでかっ飛ばし、度肝を抜かれた。
「銀河鉄道999」は樽屋雅徳さんのアレンジが変幻自在で素晴らしかった。
以前の桐蔭はステージ・パフォーマンスが地味で生真面目さが目立ったが、今回は演奏中に立ち上がってクルッと廻ったり、前に出てきたり、歌ったりしたので驚いた。最後は決めポーズで「ヤッ!」と宝塚歌劇みたいに。しっかり「聴衆の心を掴む」術をマスターし、洗練されたエンターテイメントに進化していたのである。恐らく梅田先生はここ数年、淀工の「ザ・ヒットパレード」や伊奈学園の「オーメンズ・オブ・ラブ」などのパフォーマンスを徹底的に研究し、いいとこどりしたのだろう。桐蔭のパワー、恐るべし。今年も大暴れしてくれそうだ。期待したい。
続いて、丸谷明夫先生(丸ちゃん)率いる大阪府立淀川工科高等学校(淀工)吹奏楽部が登場。2,3年生全員(130数名)が出場し、暗譜で吹いた。
定番の行進曲「ハイデックスブルグ万歳!」からアルフレッド・リード作曲「アルメニアンダンス パートI」へ。「この曲がベートーヴェンの第九交響曲のように、子供からお年寄りまで誰もが知っている音楽になるよう願いを込めて、どこへ行っても演っているんです」と丸ちゃん。それだけの想いがこもった、白熱の演奏であった。
僕は一度、丸谷先生の指揮でこの「アルメニアンダンス パートI」を吹いたことがある。その時の先生の言葉を想い出しながら聴いた。
「ジャパニーズ・グラフィティXIV(嵐セレクション)」は(A・RA・SHI~We can make it !~Beautiful days~One Love~a Day in Our Life~きっと大丈夫~風の向こうへ~Happiness~サクラ咲ケ~WISH~Love so sweet)と大盤振る舞い。何度か淀工で聴いているが、今までで一番曲数が多かった。
「故郷(ふるさと)」は、歌詞のパネル(丸ちゃん曰く、「電光掲示板」)を生徒が掲げて。
なお、これを編曲した立田浩介さんは淀工OB(トロンボーン)である。
そして十八番の真島俊夫 編「カーペンターズ・フォーエバー」で〆。
お次は近畿大学吹奏楽部。4年生の学生指揮で。
「2001年宇宙の旅」(岩井直溥 編)は途中からJAZZ風にスウィング。
「オペラ座の怪人」はヨハン・デ=メイ編版。”マスカレード(仮面舞踏会)”がないのが寂しい。
「スターウォーズ トリロジー」(J. ウィリアムズ / D. ハンスバーガー)は帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)~ヨーダのテーマ~スターウォーズのテーマの3曲だった。
そして伊勢敏之/創価学会関西吹奏楽団の出番となった。ここも昨年、全日本吹奏楽コンクールで金賞を受賞している。
曲目は、
- ヴァンデルロースト/アルセナール
- リード/春の猟犬
- 酒井 格/森の贈り物
- 真島 俊夫 編/あの日聞いた歌
(ふるさと~浜辺の歌~椰子の実~赤とんぼ~春の小川~花)
酒井さんの優しくて、可愛らしい名曲が生で聴けたのが良かった。
トリは吉田行地/大阪市音楽団(市音)の登場。
曲目は、
- リード/音楽祭のプレリュード
- ヘンデル/「水上の音楽」から序曲~ホーンパイプ
- バッハ(リード 編)/教会カンタータ第140番から
「目覚めよ、と呼ぶ声あり」 - ドヴォルジャーク/スラヴ舞曲 第8番
- 高 昌帥 編/フォークソング・メドレー
(花嫁 ~ 虹と雪のバラード ~ 風 ~ 戦争を知らない子供たち ~ 白いブランコ ~ あの素晴らしい愛をもう一度) - デューク・エリントン/キャラバン
- 「クラシック・デューク」
(コットン・テイル~ソフィスティケイテッド・レディ~スウィングしなけりゃ意味がない)
高 昌帥さんは、オリジナル作品とは全然違って平明なアレンジ。意外な一面を見た。
「キャラバン」はパンチが効いており、「クラシック・デューク」はJAZZYでノリのいい演奏。指揮者のセンスが冴える。
たっぷり3時間半。アマチュアのトップを極めた楽団と、プロの演奏を堪能した。これが無料(ただ)なのだから、何と贅沢なことか!
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コメント
はじめまして。
桐蔭はディテュランボスですか・・・・
大津シンフォニックがこの曲で銀なだけに少し不安です。
選曲から見るとトランペットに自信があるように感じます。
大津シンフォニックもトランペットがうまいですし。
ぜひとも頑張ってもらいたいです。
噂なのですが
柏はダフクロ
習志野は火の鳥
のようです。
柏は保守に入りましたね・・・・
投稿: ひろゆき | 2010年4月 6日 (火) 21時58分
ひろゆきさん、コメントありがとうございます。
へぇ〜そんな噂があるのですか。
市柏は2005年に前衛的な、ウィンドオーケストラのための「サバンナ」でまさかの銀賞となり、翌年石田先生はJ.シュトラウス/喜歌劇「こうもり」セレクションという真っ当な(無難な)選曲で金賞に返り咲きました。だから生徒を悲しませたくないと考えるなら、今年の自由曲が守りに入るというのは当然のことだと僕は想います。
同様に昨年の全国大会で、吹奏楽でマーラーを演奏するという暴挙に出て玉砕した宇畑知樹/伊奈学園も、次回(来年)は手堅い選曲をしてくるのではないでしょうか?
投稿: 雅哉 | 2010年4月 7日 (水) 00時42分
残念ながら今年伊奈は3出休みですよ。
淀工と足並み揃ってますから・・・。
多分夏に2校でジョイントするという3出恒例の
パターンではないかと。
初コメ失礼しました。
投稿: 吹奏楽オヤジ | 2010年5月 1日 (土) 11時39分
吹奏楽オヤジさん、コメントありがとうございます。
今年、伊奈学園が3出休みとだいうことは存じております。普門館で全日本吹奏楽コンクールを3年連続で聴きましたから。ですから上のコメントに「次回(来年)は…」と書きました。
今年、淀工とのジョイントをするのなら、関西でもやって欲しいですね。伊奈の「オーメンズ・オブ・ラブ」を是非生で聴きたい(見たい)ものです。
投稿: 雅哉 | 2010年5月 1日 (土) 12時48分
これは大変失礼致しました。
まあ常識でしたね…すいません。
ちなみに俺も昨年普門館で前半後半聞きましたよ。
確かに関西でやって欲しいですよね。
でもグリコンのバンダくらいしか期待出来ない
かもしれませんね。
3年前は所沢市民会館まで聞きに行きました。
埼玉って音楽盛んやからいろんなところに
いいホールあるんですよね、そこ行くと
大阪は…。
ちなみに伊奈はスプリングでブラームスの4番
やるみたいですね。
森田&宇畑の行こうとしている方向がやや
不明です。
投稿: 吹奏楽 | 2010年5月 1日 (土) 22時27分
コメントありがとうございます。
今度は吹奏楽でブラームスですか!絶対合わないと思うなぁ。やはり弦がないと。でもまあ、敢えて交響曲第4番の中で一番吹奏楽向きと言えば、第4楽章「シャコンヌ(パッサカリア)」でしょうか。そう言えば、伊奈学園はバッハのシャコンヌを吹奏楽コンクールの自由曲に選びましたね。
投稿: 雅哉 | 2010年5月 2日 (日) 00時43分