マイレージ、マイライフ/そして、2009年アメリカ映画ベスト・テン
評価:B+
原題"Up in the Air"は、「飛行機こそ我が家」と豪語する主人公の「バックパックに入らない荷物はいっさい背負わない」という、浮き草のような人生哲学を表現しているといえるだろう。ナショナル・ボード・オブ・レビュー(米国映画批評会議賞)で作品賞、主演男優賞、助演女優賞、脚色賞を受賞。アカデミー賞では作品・監督・主演男優(ジョージ・クルーニー)・助演女優(ヴェラ・ファーミガ&アナ・ケンドリックの2人)・脚色賞にノミネートされた(受賞なし)。監督は「サンキュー・スモーキング」「JUNO/ジュノ」のジェイソン・ライトマン。公式サイトはこちら。
まず主人公が《リストラ宣告人》という着眼点が面白い。こんな職業が世の中にあるなんて初めて知った。訴訟社会のアメリカならではだろう。
彼に絡む女性2人のコントラストも鮮やかだ。妖艶で手練れの三十路過ぎの女、そして生真面目で融通のきかない二十代半ばの女。女優陣も好演。
すかしたジョージ・クルーニーが部屋で荷物を詰めて、飛行機に乗り込むまでの手際の良さを短いカットで積み重ね、畳み掛けるように編集した冒頭部は実に素晴らしかった。
しかし考えてみれば、物語の最初と最後で主人公の生活は結局、何も変わっていないんだよね。こういう映画も珍しい。そして人生は続く……。
最後に、2009年に(本国で)公開されたアメリカ映画ベスト10(雅哉セレクション)を下記に挙げておく。タイトルをクリックすれば各々のレビューに飛ぶ。なお、アカデミー作品賞候補になった「第9地区」「17歳の肖像」「プレシャス」"A Serious Man"の4作品は現時点で日本公開されておらず、未見である。
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