仲道郁代/ショパン 鍵盤のミステリー 第2回「鍵盤の白と黒」
兵庫県立芸術文化センターへ。
日本を代表するピアニスト、仲道郁代さんのコンサート。2001席のキャパを誇る大ホールは満席。
オール・ショパン・プログラムで、曲目は、
- ポロネーズ第3番「軍隊」
- バラード第2番
- 24のプレリュード(前奏曲)より
第1、2、3、4、7、15「雨だれ」、24番 - ポロネーズ第5番
- 2つのノクターンより 第11番
- バラード第3番
- ポロネーズ第6番「英雄」(アンコール)
途中、仲道さんのお話、手紙の朗読、クイズコーナー、スライドなどを交え、愉しく進行した。
その中で特に興味を惹かれたのは、次のエピソードであった。
ドラクロアが描いた有名なショパンの肖像画である。今はルーブル美術館に保管されている。しかしこれは元々、さらに大きな作品の一部を切り取ったものであった。本来の作品は下のような構図であったという。
ショパンの演奏に耳を傾けているのは、当時の恋人ジョルジュ・サンド。そして切り離された左側、サンドの絵は現在デンマーク・コペンハーゲン郊外のオードロップゴー美術館にあるそうだ。現実の二人も、やがて破局を迎えることになる。
仲道さんのピアニズムの特徴は「洗練された、温かい客観性」と言うことが出来るだろう。多くのピアニストたちがショパンの音楽を弾くときに陥りがちな、甘ったるい感傷、「溜め」た表現、思い入れ過多な解釈から一線を画し、冷静な目で楽譜に書かれていることだけを抽出し、聴衆に提供するのである。しかし決して機械的な演奏ではなく、虚飾を排した青年ショパンの素顔がそこから立ち上がってくるのだ。
- 仲道郁代/ショパン 鍵盤のミステリー第1回「天才誕生」(昨年7月の感想)
全4回シリーズであと2回残されている。必聴。
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