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2010年3月27日 (土)

映画「渇き」

評価:D

人体実験によってヴァンパイアになった牧師と人妻との禁断の情事を描く。2009年カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。公式サイトはこちら

韓国のトップスターであるソン・ガンホ主演、カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを受賞した「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督作。

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ドラキュラ伯爵には独自の美学がある。彼は処女の生血しか吸わない。それはある意味、セックスのメタファー(暗喩)である。現在までにあまた創られたドラキュラ映画はその伝統に則って来たし、他のジャンル、例えば萩尾望都の漫画「ポーの一族」や、宝塚歌劇「蒼いくちづけ」(小池修一郎 作)にもその美意識は受け継がれている。

しかし「渇き」のヴァンパイアは男女の見境なく血を吸う。輸血パックでも構わない。またそれとは別に、ヒロインとセックスもする。つまり彼にとって「血を吸う」という行為は、「食事を取る」ことと同価なのだ。何なんだ、コイツ!?こんなのは吸血鬼ではない、ただのゾンビだ。あほらし。

血なまぐさく悪趣味なところは、同監督の駄作「親切なクムジャさん」を彷彿とさせる。僕は「オールド・ボーイ」(「キネマ旬報」外国映画ベストテン第6位)に惚れ込んだわけだが、どうもあの傑作を凌ぐものを創る力は、この人には残されていないようだ。残念。

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