今度はグラズノフ!児玉宏/大阪シンフォニカー 定期
大阪シンフォニカーは今年4月1日より、大阪交響楽団(Osaka Symphony Orchestra)に改称することが発表された。sinfoniker はそもそもドイツ語で、「交響楽団」という意味。die Wiener Sinfoniker = ウィーン交響楽団となる。だから「大阪シンフォニカー交響楽団」という名称は、同じ意味の単語を重ねており、そもそも変だったのだ。大阪交響楽団、シンプルでいい響きだ。

さて、児玉宏(音楽監督・首席指揮者)/大阪シンフォニカーの定期演奏会を聴いた。大阪フィルハーモニー交響楽団の定期を翌日に控えた下野竜也さんと、大フィル事務局の方も聴きに来られていた。
プログラム前半の2曲はいずれもバレエ音楽として書かれた。
- ウォルトン/バレエ音楽「賢い乙女たち」
- R.シュトラウス/クープランのクラヴサン曲による
小管弦楽のためのディヴェルティメント - グラズノフ/交響曲 第5番
ウォルトンはバッハのカンタータやオルガン・コラールを編曲したもの。バッハの厳しさが失われることなく、対位法も明確に浮かび上がってくる巧みなオーケストレーションであった。音尻はスッと減衰し、歯切れがいい。
R.シュトラウスは弦が刈り込まれ1st.Vn-2nd.Vn-Va-Vc-Cbが6-6-4-4-2という小編成。それに管・打楽器、チェレスタ、クラヴサンが加わる。機知に富みユーモア溢れる演奏。そこに仄かなロマンの芳香が香る。
グラズノフの第1楽章の序奏はユニゾンで始まり、まるでショスタコーヴィチみたいだなと想った。そしてはた、と気が付いた。グラズノフはペテルブルク音楽院の院長としてショスタコを教えているのである。また第1主題はワーグナーの楽劇「ジークフリート」のライトモティーフ(示導動機)を彷彿とさせる(グラズノフはバイロイト音楽祭で「パルジファル」上演を観ている)。各々の音楽は繋がり、一つの大きな流れの中にある、と実感された。
第2楽章の才気煥発なスケルツォはあたかもメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」の如く、第3楽章の叙情溢れる歌はチャイコフスキー的とも言えるだろう。そして第4楽章はロシア民謡やコサック・ダンスを彷彿とさせる民族的パワーが炸裂する!躍動するリズム。児玉さんのタクトから紡ぎ出される音楽は生き生きと弾み、エネルギッシュに疾走する。圧巻だった。
かつてリヒテルのピアノ、カルロス・クライバー/バイエルン国立管弦楽団の演奏でドヴォルザーク/ピアノ協奏曲のLPレコードが日本で発売された折、「レコード芸術」誌において「演奏によって曲が輝く」と評された。これを僕が読んだのは小学生の頃だったが、今でもその言葉は鮮烈に記憶に刻み込まれている。
児玉宏/大阪シンフォニカーの演奏を聴く時、僕が何時も想い出すのはこの「演奏によって曲が輝く」という一節である。《魔術師》児玉宏、恐るべし。
同じプログラムで3月20日(土)にすみだトリフォニーホールで東京公演も行われる。また今回の演奏はローム ミュージック ファンデーションによりライヴ・レコーディングされ、CDが発売される予定である。
- 《魔術師》児玉宏のブルックナー!(文化庁芸術祭「芸術祭大賞」を受賞)
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