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2010年3月19日 (金)

下野竜也/大フィルのブルックナー

下野竜也/大阪フィルハーモニー交響楽団(コンサートマスター:長原幸太)の定期演奏会をザ・シンフォニーホールで聴く。

  • ベートーヴェン/劇音楽「アテネの廃墟」序曲
  • モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲 第3番
  • ブルックナー/交響曲 第1番(ウィーン版)

ヴァイオリン独奏はルノー・カプソン。表面的には美しく、フランス菓子のように甘くて口当たりが良いが、それだけという気がした。

88歳の現役指揮者で、かつてはヴァイオリニストとしてライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスターを務めていたゲルハルト・ボッセはハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなど古典派の音楽を演奏するときの注意点として次のようなことを指摘する。

  • 大切なことはテンポ設定とアーティキュレーションであり、それによって曲の性格が決まる。
  • フルトヴェングラーワルタークナッパーツブッシュら20世紀の巨匠たちが指揮するベートーヴェンは、マーラーやブルックナーの音楽を踏まえ、19世紀末・後期ロマン派の観点から捉えた解釈であった。テンポもベートーヴェンが指定したメトロノーム記号と比べると遅すぎる(ボッセはフルトヴェングラーの指揮下で演奏した経験を持つ)。
  • 18世紀の考え方として、音が伸びるときには減衰しないといけない。「タター」という音を「タターァ」とべったり伸ばしてほしいと要求する指揮者がいるが、たまらなくなることがある。

プログラム前半のベートーヴェンモーツァルトを聴きながら感じたのは、指揮者もそしてソリストも、上記のことが分かっていないのではないかという気がした(時代遅れの演奏スタイル)。逆に、このことを十分理解し、実践している指揮者として大阪シンフォニカーの児玉宏、日本テレマン協会の延原武春、そして鈴木秀美飯森範親らを挙げておく。

というわけで前半は実に退屈で、全く時間の無駄であった。

しかしプログラム後半のブルックナーは打って変わり、さすが故・朝比奈隆の薫陶を受けた指揮者とオーケストラのコンビだけに、素晴らしいパフォーマンスであった。

第1,2楽章は滔々と流れる大河の如く、ゆったりとしたスケールの大きな音楽が展開される。ブルックナーらしい荘厳な響きも魅力的。そして前半の「静」に対し、第3,4楽章は精気に満ちた「動」の音楽に変貌する。速めのテンポで激しくうねり、パンチが効いて、聴き手に鮮烈なインパクトを与える名演であった。

第1,2楽章が朝比奈の伝統を受け継ぐものとするならば、第3,4楽章は下野さんの個性を十二分に打ち出した解釈と言えるだろう。

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コメント

こんばんは。

>第3,4楽章は精気に満ちた「動」の音楽に変貌する。速めのテンポで激しくうねり、パンチが効いて、聴き手に鮮烈なインパクトを与える名演であった。

同感です。パンチの効き、という点では、やはり3楽章が抜きんでて良かったですね。ウィーン稿特有の、分厚いブラスの魅力も堪能できたように思います。

ベートーヴェンに関しては、雅哉さんは辛い採点ですが、私は下野君の剛直なベートーヴェンも好感を持って聴く方です。でも、下野君、大フィルでベートーヴェンのシンフォニーを振ることは、これからもしばらく遠慮するんでしょうねえ。

雅哉さんは、来期の延原・大フィルのベートーヴェン偶数シンフォニーシリーズは、どうされるのでしょうか?私は、残念ながら参加できそうにない日程で、悔しい思いをしています。

投稿: ぐすたふ | 2010年3月21日 (日) 01時23分

ぐすたふさん、コメントありがとうございます。

延原/大フィルのシリーズは3回全て行く予定です。延原武春さんはハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなど古典を振らせれば、日本で聴く価値のある演奏を聴かせてくれる、数少ない指揮者ですから。

投稿: 雅哉 | 2010年3月21日 (日) 09時49分

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