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オスカー・ナイト/宴のあと 2010

第82回アカデミー賞授賞式が終わった。

僕の予想は18部門的中だった。「ハート・ロッカー」が6部門、「アバター」が3部門受賞という数も正鵠を射ていた。

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さて、上の写真はミシュランのロゴ=ビバンダム(ミシュランマン)である。これは今回、短編アニメーション部門を制した"Logorama"(ロゴラマ)に登場する。ミシュランマンが警察で、逃走犯のドナルド・マクドナルドを追いかけるといった具合。

今年の授賞式で印象的だったのは、監督賞のプレゼンターにバーブラ・ストライザンドが登場したこと。彼女には何本も監督作品があり、特に製作・監督・脚本・主演を兼任した「愛のイエントル」(1983)はゴールデン・グローブ賞で監督賞を受賞したにもかかわらず、アカデミー賞にはノミネートすらされなかったので、当時、物議を醸した。

だから授賞式開場に居合わせた映画人たちは、バーブラが登場した瞬間、キャスリン・ビグロー(「ハート・ロッカー」)の勝利を確信した筈である。そしてバーブラは受賞者の書かれた封筒を開封し、呟いた。“Well,the time has come."(「ようやく、この時が来たのね」)正に歴史的瞬間、これぞ記憶に残る名台詞と言えるだろう。

それから今年の特徴として、プレゼンター全員が"And the winner is..."と言っていたことが挙げられる。賞というのは勝ち負けではないので"the winner"という表現は相応しくないとされ、近年は"And the Oscar goes to..."と言うのが普通だった。それを従来に戻したことに、プロデューサーの深遠な意図が感じられる。つまり、今年は「女が男に勝利した年」という印象を視聴者に与えたかったということなのだろう。

また、「プレシャス」で助演女優賞を受賞したモニークが、ハティ・マクダニエルについて言及していたのが心に残った。ハティは映画「風と共に去りぬ」(1939)のマミー役でアカデミー助演女優賞に輝き、これが黒人俳優として初の受賞となった。つまりハリウッドは、人種問題に関しては比較的早い段階から寛容だったのである。しかしジェンダー(性)については、それから70年も掛かってしまった。思えば遠くに来たもんだ。

「しあわせの隠れ場所」で主演女優賞を受賞したサンドラ・ブロックは、オスカーの前日にはゴールデン・ラズベリー(ラジー)賞の最低主演女優賞(こちらの対象となった作品は"All About Steve")も同時受賞した。サンドラはラジー賞の授賞式にも出席し、トロフィーを受け取った(最低の映画を選ぶ祭典なので、本人が現われることは滅多にない。過去に登場したことで有名なのは「ショーガール」のポール・バーホーベン監督や「キャット・ウーマン」のハル・ベリーなど)。サンドラは「私のキャリアを台無しにしてくれてありがとう」とスピーチし、喝采を浴びたとか。洒落の分かる、いい人だ。今までは余り好きな女優ではなかったけれど、見直した。

ただ今回のアカデミー賞授賞式、司会のスティーブ・マーティンとアレック・ボールドウィンが些か地味な印象を受けた。去年は司会のヒュー・ジャックマンやアン・ハサウェイらが、歌って踊ったりしてくれ、華やかでまるで夢のようだったのになぁ……。

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