フランク&フレンズ/musical”MITSUKO(ミツコ)〜愛は国境を越えて〜”
ブロードウェイの作曲家フランク・ワイルドホーンを讃えるコンサートを聴きに梅田芸術劇場へ。
構成・演出は宝塚歌劇団が誇る鬼才、小池修一郎。元宝塚トップ・スター、安蘭けい主演ということで、水夏希、柚希礼音ら現役宝塚トップ男役から胡蝶蘭が届いていた。
まずプログラム前半はmusical”MITSUKO(ミツコ)〜愛は国境を越えて〜”コンサート・バージョン。これは2005年日本・EU市民交流年を記念して、ウィーンで1日だけ上演された幻のミュージカル。「EUの父」と呼ばれ、1923年に汎ヨーロッパ主義を提唱したリヒャルト・クーデンホーフ=カレルギーと、その母クーデンホーフ=カレルギー光子(旧名:青山みつ)の数奇な人生を描く。
キャストは光子役を安蘭けい、その夫ハインリッヒをマテ・カマラス(ウィーン版「エリザベート」のトート役)、そしてリヒャルトをルカス・ペルマン(ウィーン版「エリザベート」の皇太子ルドルフ役)が演じた。
オーケストラの前で衣装を身に着けた役者が歌う。日本語、英語、ドイツ語が入り乱れ、舞台中央に字幕スーパーが出る。”西と東”、”Ich Liebe Dich”、”愛は国境を越えて”(ルカスが日本語で熱唱)など美しいソロ、甘美なデュエットの数々に陶酔。また光子がドイツ語の男性・女性・中性名詞に悩む”勉強”はコミカルでユーモラスな楽曲で、実に愉快。
僕は今まで、ワイルドホーンの舞台作品を「ジキル&ハイド」、"NEVER SAY GOODBYE"、「スカーレット・ピンパーネル」(スカピン)など観てきたが、音楽はこの"MITSUKO"が最高傑作かも知れない。安蘭さんの歌唱力も見事で、マテに決して引けを取っていなかった。そして「音楽に国境はない」という真実を、心から実感した。
プログラム後半はワイルドホーン・ソングブック。
まず「ジキル&ハイド」からマルシア&鹿賀丈史で。鹿賀さんの"This Is The Moment"は久しぶりで、懐かしかった。
お次は、イケメンで日本の女性たちにも大人気のルカスが「ルドルフ」から”私という人間”をドイツ語で。すっくと立つ貴公子ぶり、さすが王子。そしてデュエット”それ以上の”(with 池谷京子)を披露。ロマンティックでいい曲だ。このミュージカルも是非一度、観てみたい(東京公演はあったが大阪は未上演)。
宝塚大劇場で日本初演されたブロードウェイ・ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」からは宝塚版オリジナル・キャストの安蘭けいが久々の男装で”炎の中へ”。勇壮でカッコいい。そしてマテが英語で”君はどこに”。
ここでフランク・ワイルドホーン本人が登場し、彼のピアノ伴奏で同じく「スカピン」より安蘭けいが宝塚版のために書かれた新曲”ひとかけらの勇気”を歌った。
そして田代万里生が来シーズンにブロードウェイで初演されるという「ボニー&クライド」(俺たちに明日はない)から"You Can Do Better Than Me"。JAZZYで味わい深い名曲。田代くんは東京藝術大学声楽家出身の声楽家(テノール)だけに、高い声はどこまでも伸び、聴衆を圧倒。
続いてマルシアが再び登場し「ジキル&ハイド」の”あんなひとが”、そして鹿賀丈史で「シラノ」の"Alone"。
さらにマテと安蘭で"NEVER SAY GOODBYE"(宝塚宙組で初演。読売演劇大賞優秀作品賞、月刊「ミュージカル」誌2006年ミュージカル・ベストテン第1位)からタイトル曲(日本語)など。そして最後は全員で同ミュージカルより"One Heart"が歌われ、感動のフィナーレとなった。
綺羅星の如き大スターたちの饗宴はもう、息を呑むような豪華さ。近年希に見る、贅沢で愉しいコンサートを全身で体感。正に至福の時であった。
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