高田泰治 フォルテピアノ・リサイタル/C.P.E.とクリスティアン・バッハからモーツァルトへ
大阪倶楽部へ。
現在も定期的にドイツに赴き、クリスティーネ・ショルンスハイムの許で研鑽を積む、高田泰治さんのコンサート。C.ショルンスハイムはフォルテピアノの世界的第一人者、アンドレアス・シュタイアーの弟子。つまり高田さんはシュタイアーの孫弟子ということになる。
さて、今回は大バッハの次男エマヌエル(C.P.E.)と末息子クリスティアンを経て、モーツァルトに至るという音楽史に沿ったプログラムとなっている。
- C.P.E.バッハ/ソナタ ホ長調
- C.P.E.バッハ/幻想曲 ハ長調
- クリスティアン・バッハ/ソナタ 変ホ長調
- モーツァルト/デュポールのメヌエットによる九つの変奏曲
- モーツァルト/幻想曲 ハ短調 K.475
- モーツァルト/ソナタ ハ短調 K.457
余り知られていない事実だが、モーツァルトはクリスティアン・バッハから多大な影響を受けている。クリスティアンの音楽を聴けば誰しも、「モーツァルトそっくりだ!」と吃驚するであろう(一方、ハイドンやベートーヴェンはC.P.E.からの流れを受け継いでいる)。8歳のモーツァルトは父親に連れられイギリスを訪れ、そこで「ロンドンのバッハ」と呼ばれたクリスティアンと出会っている。彼が初めての交響曲に着手するのも、クリスティアンの管弦楽曲に魅了されたからだと言われている。
最後の2曲はプログラムノートによると、両者を組み合わせた形で出版され、「フォルテピアノのための幻想曲とソナタ」というタイトルで一連の作品にされているそうだ。どちらもハ短調という特異な調性であり、これを連続して聴けて良かった。
フォルテピアノという楽器は、全ての音が均一に響くモダン・ピアノと異なり、音域によって音質が異なり、膝レバー使用によっても、がらっと音が変化する。そこが最大の魅力である(「膝レバー」の詳しい解説、写真はこちら!)。高田さんの冷静沈着で正確なタッチも安心して聴くことが出来、大変豊かな時間を過ごすことが出来た。
なお、この大阪倶楽部で収録された、高田さんと延原武春/テレマン室内管弦楽団によるモーツァルトの演奏はNHK BS-hiで3月17日、24日(水)に放送される予定である→詳しくはこちら。
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