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2010年2月27日 (土)

「鼻の狂歌」八方会@八聖亭(2/26)

大阪・福島の八聖亭へ。

20100226181628

八方さんの小屋で、「有料の稽古会」(←本人談)。木戸銭2,000円也。

  • 月亭八方/ごあいさつ
  • 月亭八天/天災
  • 笑福亭仁智/トクさんトメさん(仁智 作)
  • 月亭八方/鼻の狂歌

冒頭で八方さんは、冬季オリンピック、特にフィギュアスケート女子についてあれこれと。

八天さんは口跡よく、端正な芸。上手い。ただ、同じネタをつい先日、桂よね吉さんで聴いたばかりなので、比べると「華」が足りない気がした。

仁智さんの新作は老人病院を舞台にしたもの。とぼけた遺言状に腹を抱えて笑った。

鼻の狂歌」は元々、江戸落語。あちらでは「鼻ほしい」「口惜しい」等と呼ばれ、三遊亭圓生(六代目)が得意としたネタ。梅毒で鼻がなくなる武士の噺だが、上方に移植され、主人公は戦(いくさ)で鼻をスパッと斬られ、今は浪人の身となって寺子屋で子供たちに教えているという設定になっている。上方では主に桂福團治さんが演じられているよう。タブーすれすれの笑いで、ちょっと罪悪感を感じながらも実に面白い。いたずら坊主みたいな八方さんのやんちゃさが、噺の雰囲気に合っている。

ただ、梅毒で鼻がもげる方が《人間の業の肯定》(by立川談志)が感じられ、より落語的ではなかっただろうか、という気もした。まあ確かにペニシリンの発明以降、梅毒は容易に治る病気になったので、鼻が落ちる(第3期、4期に「ゴム腫」で鼻が欠損する)という現象は、現代人にはピンと来ないかもしれないが……。そういうグロテスクさ(毒)を笑いに転化してしまうところに、僕は落語という芸能の凄みを感じるのである。

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