音楽業界の不況と、大植/大フィル
英EMIが「アビイ・ロード・スタジオ」を売却すると報道された。
「アビイ・ロード」はビートルズのアルバムでも知られるように、言ってみれば”EMIの魂”である。それを売り飛ばすとは、経営状態の悪化が、それ程までに深刻だということなのだろう。
CDが売れなくなって久しい。今は音楽をインターネットから直接ダウンロードする時代である。例えばウォルト・ディズニー・スタジオは、アカデミー作曲賞にノミネートされた「カールじいさんの空飛ぶ家」のサウンドトラック・アルバムCDですら販売していない。ダウンロードのみである。
さて、つい1-2年前までは大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会に足を運ぶと、必ずライヴ・レコーディング用のマイクが多数設置されていたものだった。大植さんの体調が最悪だったベートーヴェン・チクルスも、昨年2月に話題騒然となったマーラー/交響曲 第5番もしっかり録音されており、大植さんの許可が下りればフォンテックからいつでも発売出来る筈である。
しかし、今シーズンの定期から、マイクの棒がニョキニョキ立てられている光景がすっかり見られなくなった。それは今回のアルペン・シンフォニーでも同じこと。
そして来シーズンは、同コンビによるブラームス交響曲全集が、財団法人「ローム ミュージック ファウンデーション」の手で録音・販売されることが発表された。
クラシック音楽のCDを出すにも、助成金がなければ難しい時代がやってきたのだなぁと、感慨に耽らざるを得ない。
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