四代目 林家小染 追善落語会
京橋花月へ。
四代目 林家小染(1947-1984)は店で酒を飲んでいる最中、酔った勢いで外へ飛び出し、走ってきた車に轢かれ事故死したそうだ。生前親しかった笑福亭鶴瓶によると、「トラックと相撲を取る」と言って車道に飛び出したという。なんとも落語的な生き様である。
- 林家染弥/時うどん
- 林家染丸/掛け取り
- 笑福亭仁鶴/道具屋
- 桂 文珍/四代目林家小染物語(千島団地の夜は更ける)
- 五代目 林家小染/上燗屋
- 四代目 林家小染/鍬潟(くわがた)VTR
先代の弟子だった現・小染が故人を偲んで酒の噺「上燗屋」を演り、四代目のVTRが相撲の噺だったというのは象徴的であった。文珍さんの新作も、酒にまつわる故人との想い出を活写したもの。
先代の高座は畳み掛けるようなスピード感があり、ダイナミック。「惜しい人を亡くしたものだ」としみじみ想った。
仁鶴さんは故人のことに触れることもなく淡々とネタへ。抑揚がないその口調にはやはり違和感がある。「演じ分けることが落語の真髄ではない」という意見があることも十分承知しているが、僕はそういうスタイルを余り好きになれない。
最後に四代目の長女が挨拶をされた。先代が亡くなった時、彼女は9歳。小学校に入ってから、父親は酒を飲みに行ったまま帰宅しないことが多くなり、ほとんど話をすることもなかったという。今回DVD・CD-BOXの発売や追善落語会の話が持ち上がり、初めてその高座に接し、父の偉大さを知ったそう。その姿は家庭で見せる素顔とは全く違っていたとか。
とても印象深い会であった。
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