月亭遊方・笑福亭たま/サムシング寄席
動楽亭へ。
「上手い」「端正だ」「師匠から教わったとおり演じている(瓜二つ)」という言葉だけでは表現出来ない「人を引きつける何か」=サムシングを探求する落語会。客の入りは47-8人。
- 笑福亭たま/ドーベルマン刑事(たま 作)
- 月亭遊方/ペンギン・ア・ゴーゴー(遊方 作)
- ナオユキ/STAND UP COMIC
- 遊方・たま・ナオユキ/サムシングトーク
- 笑福亭たま/景清
- 月亭遊方/埃をかぶったヒーローへ(遊方 作)
「ペンギン・ア・ゴーゴー」は桂あやめさんによる新作の会「できちゃったらくご」で1991年に初演された、遊方さんの2作目。その頃の「できちゃった」メンバーは他に、桂三風・笑福亭鶴笑・林家染二さんだったとか。これは意外。ペンギンのようにピョコピョコと、猪突猛進するラブリー(不思議)ちゃんが可笑しい。僕はフランス映画「アメリ」を想い出した。あんな女の子が身近にいたら、迷惑極まりないことだろう。そこを見事に突いた、抱腹絶倒の噺。
遊方さんの二席目について、たまさんからのリクエストは「テーブル・ジャンクション」。これはたまさんが大学生の頃行った落語会で、遊方さんが事前にネタ出ししていた演目。しかし高座に上がると「このネタ、あんまりおもろないんで『看板の一』に変えます」と結局演らず、幻の作品になってしまったとか。「気になってしょうがなかったんです」と。しかしよくよく聞いてみると、実はネタが成長して「飯店エキサイティング」に至る、その原型だったとか。
代わりに演じられた「埃をかぶったヒーローへ」は2002年、アメリカ村 BIG CATで開催された独演会でネタ下ろしされたもの。遊方さんの公式サイトからそのまま引用すると、「はがれてしまった夢を呼び起こすべくメッセージを込めて書きおろした、ブルージーストーリー」。
夢をテーマに、中高年男性へのエールをと「埃をかぶったヒーローへ」を創作、宣伝したら、本当に男性客が多くてびっくり。 皮肉なもんで、ガチガチに緊張していた僕を救ってくれたのはおっちゃん達の‘笑い声’でした。
とは、独演会を終えた遊方さんのコメント。それ以来、久しぶりの口演とのこと。
ロックがやりたくて上京するも、ひょうんなことから落語家になってしまった遊方さんの熱い気持ちが伝わる作品。ただ思い入れが強すぎて、作品として(笑い)のバランスを崩しているという印象も。だから滅多に高座に掛けられないのだろう。でも珍しいものが聴けたので、それはそれで良かった。
たまさんの二席は今回、いまいち。もう少し、サムシングが欲しかった。
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