今年の米アカデミー賞の行方を占う
さて、いよいよ明日は第82回米アカデミー賞ノミネートの発表である。
恐らく今年の最多ノミネートはジェームズ・キャメロンの「アバター」(9部門前後)、それをクエンティン・タランティーノの「イングロリアス・バスターズ」やキャスリン・ビグロー監督「ハート・ロッカー」(The Hurt Locker)が追う形になるのではないかと予想する。
作品賞の本命は混戦模様だが、監督賞はキャスリン・ビグローで決まりではないだろうか?もしそうなればアカデミー賞史上初の女性監督受賞となる。ヒラリー・クリントンが初の女性大統領になる前に、ハリウッドは新しい歴史をつくっておきたい筈だ。むしろ遅すぎたと言えるだろう。
僕個人の意見としては1993年に、カンヌでパルム・ドール(最高賞)を勝ち取った「ピアノ・レッスン」のジェーン・カンピオン監督が受賞しても良かったのではないかと想っている。しかし、これはフランス/ニュージーランド/オーストラリアの合作で(つまりアメリカ映画ではなく)、しかも対抗馬が「シンドラーのリスト」のスティーブン・スピルバーグだったのだから、元々勝ち目はなかった。
結局アカデミー賞は演劇界に先を越されてしまい、1997年にミュージカル「ライオンキング」で女性演出家として初めて、ジュリー・テイモアにトニー賞が贈られた。その後も2001年に「プロデューサーズ」の演出でスーザン・ストローマンが受賞している。
しかし考えてみたら、日本では西川美和監督の「ディア・ドクター」がキネマ旬報ベストワンに輝いたし、本格的に女性の時代が到来したんだなぁと実感する。
話を元に戻そう。今年からアカデミー賞の作品賞候補は10作品が選ばれることになった。ノミネートを期待したいのがピクサーの「カールじいさんの空飛ぶ家」。もし入れば、ディズニーの「美女と野獣」以来、アニメーション映画として史上2回目の快挙となる。まあ現在は長編アニメーション部門が新設されたので、無理に作品賞に入れなくてもいいと言えば確かにそうなのだが……。
その長編アニメーション部門に「崖の上のポニョ」がノミネートされるかどうかは、微妙な状況。同じ日本人として、今はただ神に祈るのみである。
昨年は「おくりびと」が大旋風を巻き起こしたが、今年の外国語映画賞には残念ながらアジア映画は一本もノミネートされない見込み。もし「ディア・ドクター」か「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」が日本代表としてエントリーされていれば、十分可能性はあったのにと悔やまれる。
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コメント
久し振りです、雅哉さん。
「ハート・ロッカー」については違反が発覚したりしてなんかミソがついてお気の毒様というしかないですなぁ。まぁ、低予算で撮られたこの映画がオスカー獲ったりしたらその事だけでも誉めてやりたいんですけどね。
投稿: S | 2010年3月 6日 (土) 21時58分
Sさん、コメントありがとうございます。
「ハート・ロッカー」の違反は結構笑える事件でした。これは確かに映画にとって不利ですが、でも最近の作品賞は、「クラッシュ」「ノーカントリー」「スラムドッグ$ミリオネア」など、インディーズ系が多数受賞しています。だから「ハート・ロッカー」には、まだ十分チャンスがあると想いますよ。
投稿: 雅哉 | 2010年3月 7日 (日) 01時47分