「彫刻の腕」「ベガーズ・バンケット」/月亭遊方のゴキゲン落語会(2/16)
ワッハ上方・小演芸場「上方亭」へ。月亭遊方さん、The One and Onlyの会。
- 開幕前戯噺(近況報告)
- 彫刻の腕(遊方 作)
- ベガーズ・バンケット(遊方 作)
「彫刻の腕」は2009/7/29に動楽亭であった「できちゃったらくご!」で初演され、今回が2回目とのこと。美術品の価値とは何か?を問う傑作。スラップスティック(ドタバタ)・コメディ仕立てで実に可笑しく、僕はマルクス兄弟の映画(「我輩はカモである」「オペラは踊る」)を想い出した。腕が取れたら美術品としての価値が高まるという設定は、まるでミロのヴィーナスみたいで説得力があった。
「ベガーズ・バンケット」はホームレスがひょんなことからバンドを組んで、コンテストに出場するというお伽噺。2006/10/7にワッハホールで開催された、遊方さんの芸能生活20周年独演会でネタおろしされ、それ以来の口演とのこと。その時はギターとベースの助っ人があったようだが、今回は全部一人で。だから着物の早変わりなど、もたついた感あり。途中、自作の歌“路上の輩(とも)”をギターの弾き語りでたっぷり披露。歌詞が真っ当すぎて、「いとしのレイラ~彼女のロック~」程のインパクト(パンチ)に欠けたのが残念。
ただ僕は遊方さんの天王寺ネタが大好きなので、自らホームレスに取材したというこの噺も、そこそこ愉しめた。
1728年、ジョン・ゲイの書いた「ベガーズ・オペラ(乞食オペラ)」がロンドンで初演され大人気を博し、1463回という驚異的な上演記録を残した。1928年、ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトがこれを基に「三文オペラ」を書き、クルト・ヴァイルがそれに作曲をした(ブロードウェイ・ミュージカル「キャバレー」は「三文オペラ」へのオマージュである)。そして21世紀に入り、日本の大阪で「ベガーズ・バンケット」が産声を上げる。これらの作品全てに共通するのは、貧乏のどん底に生きる人間の、心の気高さである。歴史は繋がっている。
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