大阪フィルによる管楽アンサンブル/いずみホール特別演奏会
いずみホールへ。
コンサートの前に、道頓堀今井の名物・親子丼ときつねうどんに舌鼓を打つ。
だしが効いて美味なり。
さて、大阪フィルハーモニー交響楽団がウィンド・オーケストラに変身した。弦楽器なしのコンサート。指揮は東京佼成ウィンド・オーケストラも振る下野竜也さん。
- メンデルスゾーン/吹奏楽のための序曲
- ロドリーゴ/管楽器のためのアダージョ
- アーノルド/金管楽器のための交響曲
- R.シュトラウス/ソナチネ 第2番「楽しい仕事場」
全てオリジナル曲で、通常の吹奏楽団と異なるのはサクソフォンが見あたらないこと。
面白いことに今回はチューニングなしの演奏だった。つまり、大阪府立淀川工科高等学校(淀工)や、なにわ《オーケストラル》ウィンズ(NOW)同様の手法である。ちなみに、大阪市音楽団(市音)はチューニングをする。
客の入りは9割くらい。吹奏楽をしている中高生がいっぱい。淀工の丸谷明夫先生と生徒さん達の姿も見かけた。また客席には大フィル弦楽セクションの楽員もちらほらと。
こういう編成は馴れないせいか、アンサンブルの精度はNOWや市音に一歩譲った。しかし演奏された曲が珍しく、僕も生で聴いたことがないものばかりだったので、とても愉しめた。
メンデルスゾーンは15歳の作品で、青春の息吹が感じられる瑞々しさがあった。
ロドリーゴといえば「ある貴紳のための幻想曲」等、ギター&管弦楽の曲が有名だが、まず冒頭フルートから始まるメロディは「アランフェス協奏曲」の第2楽章(恋のアランフェス)を彷彿とさせるロマンティックな楽想。そこへ突如、何かに追い立てられるような緊迫した不協和音を金管が咆え、これが20世紀の作品であったことを想い出させる。
アーノルドはTp 4,Tb 4,Hr 1,Tuba 1の計10人による演奏。これのみ指揮台無しだった。
R.シュトラウスは「ばらの騎士」の如く、やわらかく甘い香り立つ、芳醇な魅力があった。この作品が1944年、つまり第2次世界大戦中ナチス・ドイツ末期に作曲されたことが到底信じられないくらいの優雅さ(ある意味、現実逃避とも言える)があった。ちなみにR.シュトラウスは第三帝国の帝国音楽院総裁として当時ナチスに協力していた。また、彼の父親はミュンヘン宮廷歌劇場の首席ホルン奏者だったこともあり、この曲でもホルンが格好よく大活躍するのが面白かった。
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コメント
こんばんは!
この構成は慣れない感じでしたが、管楽器の人達って
弦セクションと違って、もともとtutti演奏が少ないので
プレッシャーなど無し、という感じでした。
金井さんの嬉しそうな表情が印象的でした!!にこやかで明るい方で、いつも癒されます。
私はやはり最後のシュトラウスが好きでした。最初低音部が物足りなく感じたのですが、演奏の精度が高く,聴き惚れているうちにすぐに慣れました。
でも、素人考えですが~
吹奏楽でもコントラバスが入るのですから、今回もコントラバスが欲しいなと思いました。
投稿: jupiter | 2010年1月29日 (金) 23時34分
これ、行きたかったんですよ。いいなあ。
最近、アーノルドに興味があるんです。なかなかいい曲がありますよね。
この曲も、どこかで探して聴こうと思っています。
投稿: ぐすたふ | 2010年1月29日 (金) 23時56分
今までコメントに気が付かず、公開が遅れたことをお詫び致します。
さてjupiterさん、仰る通りバリトン・サックスやコントラバスを欠く管楽アンサンブルは低音が弱いですね。
僕も今回のプログラムで一番良かったのはR.シュトラウスでした。
それから金井さんはやっぱり、吹奏楽が大好きなんですね。そのことが良く分かりました。
投稿: 雅哉 | 2010年2月 5日 (金) 17時07分
ぐすたふさん、コメントありがとうございます。アーノルドは特に映画音楽が良いです。アカデミー作曲賞を受賞した「戦場にかける橋」、ロマンティックな「第六の幸福をもたらす宿」、そして「ホブスンの婿選び」もユーモアがあって好きだなぁ。
投稿: 雅哉 | 2010年2月 5日 (金) 17時11分