尾高忠明のエルガー/大フィル定期
大阪フィルハーモニー交響楽団(コンサートマスター:長原幸太)定期演奏会@ザ・シンフォニーホールへ。
曲目は、
- エルガー/海の絵
- エルガー/交響曲 第2番
メゾ・ソプラノ独唱は重松みかさん。そして英国エルガー協会より日本人として初めてエルガー・メダルを授与された尾高忠明さんが指揮台に立った。尾高さんは今年からNHK交響楽団の正指揮者に就任されている。
エルガーの音楽を自家薬篭中のものとしている尾高さんだけに万全の演奏だった。僕が大好きなサー・ジョン・バルビローリが指揮するエルガーのシンフォニーはどこか寂寞として、生きることの哀しみを感じさせるものだが、尾高さんの解釈はもっとpositive thinking(前向き思考)で、勢いがある。生気が漲っているのだ。指揮者の熱い想いに大フィルもしっかりと応えた。
一方のオーケストラ付き歌曲「海の絵」はたゆたう叙情、うつりゆく色彩のグラデーションが繊細であり、絶品であった。
是非次は尾高/大フィルのコンビで、エルガーのオラトリオ「ゲロンティアスの夢」を聴いてみたいものである。
以下余談。プログラム解説によると、交響曲 第2番の第3楽章についてエルガーは「生きながら埋葬される恐怖」を描いていると語ったそうだが、これってエドガー・アラン・ポー(1809-1849)の小説「早すぎた埋葬」(The Premature Burial)からの影響じゃないだろうか?エルガーには「エニグマ(謎)変奏曲」という作品もあり、ミステリー好きだった可能性が高い。
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コメント
雅哉さん、こんばんは。聴きに来られていたのですね。
尾高・イギリス物の真骨頂、良かったですよねえ。もう少し客が入ってくれればなあ、と思いました。
今年も、よろしくお願いします。
投稿: ぐすたふ | 2010年1月28日 (木) 22時24分
ぐすたふさん、コメントありがとうございます。
それにしても来年度の大フィル定期プログラム編成、お粗末ですね。「名曲コンサートか!?」と言いたくなるような、ありきたりの曲ばかり並んでいます(唯一の救いは大植さんのコープランド/交響曲第3番ですが)。
しかしまあ、エルガー程度で客が入らないのですから、台所事情の苦しい現在の大フィルにとって、冒険的な選曲はやはり難しいのでしょう。
本当の勝負は大阪センチュリーが消滅してから、という気がします。
投稿: 雅哉 | 2010年1月29日 (金) 13時04分