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2010年1月18日 (月)

淀工グリーンコンサート 2010!@ザ・シンフォニーホール

大阪府立淀川工科高等学校(淀工)吹奏楽部の定期演奏会「グリーンコンサート」(グリコン)は例年、フェスティバルホールで開催されてきた。しかし、改築工事のため閉鎖されたので2009年は大阪城ホールに代わった。

今年はザ・シンフォニーホールに場所を移し、土日に4回公演が行われた。チケットは当然、即日完売。

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僕は日曜《昼の部》に行ったのだが、朝10時に指定券に引き換えに行くと、16時半から引き換えが開始される《夜の部》の列が既に出来ていたのには驚いた。

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丸谷明夫先生(丸ちゃん)の指揮で、リード/「音楽祭のプレリュード」の華やかなファンファーレから始まる。プログラムの解説によると1970年に淀工はこの曲を吹奏楽コンクール自由曲と決め練習していたのだが、その年の5月に課題曲に決まったとのこと。ちなみに淀工が全国大会に初登場するのは'74年のことである。

そして三年生のみで、本家よりも淀工の方が沢山演奏していると丸ちゃんが豪語する「カーペンターズ・フォーエバー」。指揮する丸ちゃんが時折ふっと、満面の笑顔を浮かべるのが印象的。本当にこの曲が大好きなんだなぁ。

続いて星組選抜メンバーで(オーディションは生徒たち自身がブラインドで審査する。先生は介入しない)ラヴェル/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より。昨年、全日本吹奏楽コンクールで金賞を受賞した自由曲である。例年、サマコンとグリコンではコンクール自由曲を出向井誉之先生が振るのが恒例になっているのだが、今年は珍しく丸ちゃんが指揮台に立った。さすが半年かけて練り上げてきただけに、隅々まで各パートが明瞭に聴こえ繊細緻密、一部の隙もない引き締まった演奏であった。

OBによる演奏は岩井直溥編曲によるアメリカングラフティXI(虹の彼方に~ミセス・ロビンソン~ローズ~いそしぎ~ダイヤが一番)。フルート、アルト&テナー・サックス、フリューゲルホルン、トランペット、トロンボーンなどソロの上手さが光る。

そして一年生が登場。「何でも拍手してやって下さい。調子に乗りますから」と丸ちゃん。まず、入部して最初に合奏するというジェームズ・M・フルトン/行進曲「海兵隊」。もう一年近く経っているので、こちらが想像したほど下手じゃない。強弱の変化には乏しいが、無垢で一生懸命なところがいい。

淀工は合奏前にチューニングをしない。「何でせえへんのや?」と丸ちゃんが生徒の一人にマイクを向ける。「出来へんからです」との回答に、会場が沸く。

そして生徒の紹介と曲当てクイズへ。紙に本人が書いたプロフィールを丸ちゃんが読み上げる。《クラブに入った理由》は「流れ」「(先輩から)強制的に入れられた」など。《一番楽しいと思う時は?》という設問に対して「休憩中」「ミーティングが終わった瞬間」。いかにも高校生らしく、微笑ましい。

一年生がソロで楽器を吹き、客席が手を挙げて解答するのだが(正解者にはタオルをプレゼント)、宮崎アニメ「天空の城ラピュタ」の音楽が演奏されると”鳩と少年”、「風の谷のナウシカ」なら”鳥の人”と、正確に曲名まで当てる人が続出。な、なんてマニアックなんだ!

コーナーが終わる頃になると、僕の周囲に座っていた一年生のお母さん達がざわざわ騒ぎだした。「うちの子もソロを吹くって聞いていたのに、指名されない。どうして!?」いやいやお母さん、折角4公演あるのだから丸谷先生は毎回別の子を紹介して、なるべく多くの生徒にスポットライトが当たるようにしているんですよ(丸ちゃんの座右の銘は亡くなった松平先生が残した言葉、「こどもに音楽の機関車を」)。

続いて出向井先生の指揮で、岩井直溥編曲によるディズニー・メドレー(ミッキー マウス マーチ~小さな世界~ハイ ホー~狼なんかこわくない~いつか王子様が~口笛吹いて働こう~星に願を)。ここで前半終了。

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休憩を挟みIntroduction to Soul Symphony(楽器紹介)の後、再び丸ちゃんの指揮でヴェルディ/歌劇「アイーダ」凱旋行進曲。今も語り継がれる1990年の普門館、5年連続金賞受賞の特別演奏で披露された曲(DVD「淀工・青春の軌跡1986~2005」に収録)。しかしその短縮版ではなく今回は全長版が演奏された。2階席ではOBがバンダ(金管別働隊)を担当。上手にトランペット、下手にトロンボーンが配され、ステージ後方のパイプオルガン両サイドには細なが~いアイーダ・トランペットが。壮大で厚みのあるサウンドがホールを包み、聴衆を圧倒。演奏の質、精度は1990年より明らかに向上している。いやはや、途轍もないものを聴かせてもらった。

続く「ザ・ヒットパレード」の内容は、パラダイス銀河~ホップ・ステップ・ジャンプ~嵐メドレー(A・RA・SHI、Beautiful days、One Love、Happiness、サクラ咲ケ)~幸せなら手をたたこう(一年生男子の歌と踊り)~三三七拍子~明日があるさ(一年生女子の歌と踊り)~乾杯(三年生の歌)。このグリコンで三年生は引退である。考えてみたら彼らが一年生の時から僕はずっと聴いてきたわけで(サマコンも、全日本吹奏楽コンクールが開催される普門館にも3年連続で行った)、感慨もひとしおである。おめでとう、そして今まで素晴らしい演奏を本当にありがとう!

ところで三三七拍子のときに例年なら「阪神タイガースの優勝を祈願して」となるのだが、今年は「皆様の無病息災を祈念して」に変わった。何でだろう?と不思議に思っていたら、丸ちゃんの呼びかけに応じ、朝日放送「おはようパーソナリティ道上洋三です」の道上さん(熱狂的阪神ファン)が客席からステージに上がる。そして淀工の伴奏で「六甲おろし」を熱唱。

さらにアンコールはジャパニーズ・グラフティIV弾厚作作品集~(お嫁においで、サライ)と行進曲「ウエリントン将軍」が演奏され、終わってみれば休憩時間を含め2時間45分。盛りだくさんのコンサートであった。

来年度、淀工はコンクールが3出休みである。丸ちゃんと生徒たちはこれから一年間かけて、どんな曲に挑むのであろう(4年前はグレインジャー/「リンカンシャーの花束」だった)。それもまた、愉しみである。

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コメント

こんばんは。
早く交換に行くと席の希望とか多少聞いてくれるんでしょうか?
私は11時40分くらいだったので2階でした(でも前の方で、バンダもあって充実してました9が、昨日行った友人はギリギリでも1階の中央の補助席でラッキーだったそうです。
カーペンターズメドレー、私も大好きで何故か泣けてきてしまうんです。

ところで4回公演というのはハードすぎませんか?入れ替え、MC,曲当てクイズ、OB演奏・・・休ませる工夫は成されていたようですが、連続でここまでするのは体力的にも、またホルンやペット系の子の唇なんかも腫れてしまうのでは??とか素人考えで思ってしまします。
4回公演でも完売なんて思うと、減らすわけにはいかないのでしょうね~~早くフェスティバルホール立て直して欲しいものです。

投稿: jupiter | 2010年1月19日 (火) 01時43分

jupiterさん、早く行っても希望は聞いてもらえません。1階席を確実に確保したければ、指定券交換開始の少なくとも1時間前には行っておかなければならないでしょうね。

それからフェスティバルホールで開催されていた頃からグリコンは4回公演です。まあ淀工生の日常は普通の土日でも朝から晩まで練習しているわけですから、別にどうということはないのでしょう。

投稿: 雅哉 | 2010年1月20日 (水) 01時01分

コーナーが終わる頃になると、僕の周囲に座っていた一年生のお母さん達がざわざわ騒ぎだした。「うちの子もソロを吹くって聞いていたのに、指名されない。どうして!?」⇒ 知らんのに適当な事書くな!!

生徒の保護者が観に来るときに、ソロ吹く様に決めてたんです。
先生が、その生徒当てるの忘れてたんです・・・

投稿: tqtaro | 2010年4月21日 (水) 16時38分

関係者の方でしょうか、丁寧なコメントをありがとうございます。

僕が聴いたのとは別の回で、一部生徒の指名を忘れていたことに気付かれた丸谷先生が、コンサートの最後に謝られたそうですね。

投稿: 雅哉 | 2010年4月21日 (水) 22時09分

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