年越しそばと、久石譲 ジルベスターコンサート2009
12月31日大晦日、快晴。
梅田スカイビル真下から、青空を見上げる。
年越しそばを食べに、ザ・シンフォニーホール近くにある名店「まき埜」へ。
「すだちそば」を戴く。
そばにはシコシコ腰があり、すだちの爽やかな香りが一気に口の中に広がる。美味なり。
そして「久石譲 ジルベスターコンサート2009」の会場に到着。
現在公開中の映画「ウルルの森の物語」の音楽を久石さんは担当されているので、そのオオカミの子・ウルルから会場に花が届いていた。
2009年は久石さんがNHK紅白歌合戦に出演されるので、恒例となった大阪でのジルベスターコンサートはないのかな?と想っていたら、例年より時間を早めての開催となった。コンサート終了が午後4時くらい。それから久石さんは直ちに大阪空港に向かい、飛行機が羽田に到着するのが6時過ぎ、そして7時15分からの紅白のオープニングに登場するという強行スケジュールとのこと。
さてコンサートの方は久石 譲(指揮・ピアノ)、金 洪才(指揮)/関西フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、
- 「My Lost City」(Prologue〜Drifting in the City、Cape Hotel〜Madness、冬の夢、Tango X.T.C.)
- 「坂の上の雲」組曲(時代の風、青春、戦争の悲劇、Stand Alone)
- ストラヴィンスキー/バレエ音楽「火の鳥」(1919年版)
- 久石譲ポップスセレクション(ロシュフォールの恋人達、Adventure of Dreams、Mission Impossible)
「My Lost City」は1929年の世界大恐慌時代に生きた小説家スコット・フィッツジェラルドをテーマに久石さんが作曲したもの。エリック・サティ風の"Cape Hotel"は北野武監督「あの夏、いちばん静かな海」、"Madness"(狂気)は宮崎駿監督「紅の豚」、そして"Tango X.T.C."は大林宣彦監督「はるか、ノスタルジイ」で使用された楽曲である。僕は映画「はるか、ノスタルジイ」とその音楽が死ぬほど好きなので、久しぶりに聴けてとても嬉しかった。
「坂の上の雲」はこの12月にNHKで第1部(全5話)が放送されたばかり。僕も勿論、毎回欠かさず観ている。本木雅弘をはじめとする出演者が豪華で、しかもナレーションを渡辺謙が担当するという贅沢さ。久石さんによる壮大なスケールの音楽も実に素晴らしく、サラ・ブライトマンがメインテーマを歌っているということで話題沸騰である。今回その"Stand Alone"はピアノとオーケストラによるバージョン。坂の上に主人公が凛として立ち、そこに一陣の心地よい風が吹き抜けるような演奏であった。
「火の鳥」の久石さんは律儀な指揮ぶり。面白味に欠けるが、まあ本人がやりたがっているのだから仕方がないか、といった感じ。久石さんが指揮するクラシック音楽を聴きたいと想っている人は、会場に1人としていないだろう。別に全曲、自作のプログラムで構わないのだけれど……。
"Adventure of Dreams"は久石さん作曲で日清カップヌードルのCM曲だそう。「ロシュフォールの恋人たち」はミッシェル・ルグラン、"Mission Impossible"はラロ・シフリンの楽曲。Jazzyな雰囲気が醸し出され、実にgroovy(いかす、かっこいい)。機知に富むアレンジがお見事!
アンコールは、
- 「千と千尋の神隠し」〜あの夏へ
- Runner of the Spirit(TV「箱根駅伝中継」のテーマ曲)
「千と千尋」のこの曲を聴くと、映画を観た時のことや、その匂いを鮮明に想い出す。当時、僕は四国に住んでおり、愛媛県新居浜市の映画館で仕事帰りに観た。その日は近所で花火大会があって、上映中に遠くから花火を打ち上げる音が聞こえてきた。
その後、新居浜市には立派なシネコンが出来て、「千と千尋」を観た映画館はあっけなく潰れてしまった。2001年7月、今となっては遠い夏の日の想い出である。
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