長講「初天神」/天神寄席(1/25)
天満天神繁昌亭へ。
- 桂 雀太/饅頭こわい -半ばー
- 桂 三若/生まれ変わり(三枝 作)
- 桂 一蝶/昭和任侠伝(二代目・春蝶 作)
- 桂 文太/つるつる(贋作シリーズ)
- 桂 坊枝/野ざらし
- 笑福亭松喬/長講「初天神」
雀太さんは枝雀さんの孫弟子にあたる。言葉のリズム感が枝雀さんのそれを彷彿とさせる。つまり上手い。携帯電話のスイッチを切るように注意する時、「ポンカラキンコンカンカンカンと鳴っては困りますから」という口調が面白い。
東京の言葉は冷たくて、「だめ!」というのは英語の"NO !"に似ているが、大阪弁はもっと柔らかく、「あかん」はフランス語の"Non"に近いなどといったことを一蝶さんは話された。しかしこれ、桂三枝さんが以前使っておられたマクラと全く内容が同じなんですけれど……。
文太さんは落語を聴く心得《はひふへほ》を披露した後、最後の幇間(=たいこもち)と呼ばれる悠玄亭 玉介(ゆうげんてい たますけ)さんから聴いた話を。「幇間の極意は旦那が言ったことに決して逆らわないことです」そして幇間の哀感滲む「つるつる」へ。文楽や志ん生が得意とした江戸の噺だが、巧みに上方に移植しているので違和感はない。味わい深い高座だった。
坊枝さんは大きな声でハイテンションな主人公が愉しい。
松喬さんは落語の《上下(かみしも)を振る》ことの説明から入った。「歌舞伎でも吉本新喜劇でも家屋は舞台の上手(かみて)にあり、訪問客が下手(しもて)から入ってくるというルールは同じです。だから花道は下手にあるのです」嗚呼、確かにそうだと納得。「落語で夫婦が登場する場合、おかみさんが上手に来るのか、旦那が上手なのかはその力関係によって変わってきます。その選択は噺家の演出に任されています」へぇ~!目から鱗であった。
松喬さんが「初天神」を高座に掛けることは滅多にないそうなのだが、「今日は師匠の松鶴から教わった型でやります」と。噺に登場する息子だけが吃音という演出が面白かった。考えてみれば、以前NHK-BSで観た松鶴の「らくだ」も登場人物の一人が吃音で演じ分けられていた。成る程、これが《笑福亭の芸》なんだと膝を打った。
| 固定リンク | 0
「古典芸能に遊ぶ」カテゴリの記事
- 柳家喬太郎 なにわ独演会 2021(2021.10.01)
- 柳家喬太郎独演会@兵庫芸文 2021(2021.07.30)
- 「らくだ」笑福亭鶴瓶落語会 2021 @兵庫芸文(2021.02.07)
- 柳家喬太郎 なにわ独演会 〈第三回〉(2020.10.07)
- 新型コロナウィルスと”浮草稼業“(2020.02.28)
コメント