田辺寄席(あやめの段)、笑福亭たま(+月亭遊方)/ナイトヘッド、八方会
12月19日(土)田辺寄席へ。今回は桂あやめを「じっくりたっぷり」聴く会。
- 桂さろめ/平林
- 桂あやめ/落語男(あやめ 作)
- 桂春駒/お忘れ物承り所(三枝 作)
- 桂文太/寄合酒
- 桂あやめ/桜姫花菖蒲文章(あやめ 作)
「平林」は東京弁で。いまひとつリズムに乗れず、さろめさんはどうもまだ自分の方向性をつかめていない様子。
文太さんはさすがの名人芸。
「桜姫花菖蒲文章」は歌舞伎「桜姫東文章」を落語化した芝居噺。
特に「電車男」のパロディ「落語男」が秀逸だった。インターネットの落語コミュニティに集まる人々を面白可笑しく描き、「俺たち”落語オタク”が噺家を支えているのに、あいつらは俺たちを毛嫌いするんだ」という台詞には大笑い。いや、実際そうなんだよね。ブログなどで落語会の感想を書く人間を、噺家は非常に煙たがる。あやめさんの観察力の鋭さに脱帽。
続いて繁昌亭のレイトショー(21時40分開演)へ。
- 桂吉の丞/強情
- 笑福亭たま/近日息子
- 月亭遊方/あほーりーらぶ(遊方 作)+小咄「甘酒屋」
- 笑福亭たま/ショート落語+刺青(たま 作)
「近日息子」は怒りがどんどんエスカレートしていく様が面白い。
遊方さんの新作は、2007年のクリスマスに「できちゃったらくご!」で初演されたもの。基本的に12月にしかされないネタのようだ。アホアホ星人に侵略された人類の危機を描く。クライマックスは映画「タイタニック」の主題歌“My Heart Will Go On”が高鳴る。遊方さんの顔芸が可笑しくて、その馬鹿馬鹿しさに腹を抱えて笑った。
たまさんの準備が遅れ、中々出て来ないので急遽遊方さんがふたたび高座に上がり、「甘酒家」で急場をしのいだ(”与太郎”役はアホアホ星人が担当)。遊方さんの掲示板によると、この小咄は明大落研の必修だとか。
今回のたまさんの新作は不調。彫物師の噺で、刺青には金属が入っているとかMRIに入ると熱を帯びて火傷するとか、説明過多で理に落ちた。
12月21日(月)八方さんが所有するビルを改装して作った寄席小屋、八聖亭(はっしょうてい)へ。
ざこばさんの動楽亭が縦長なのに対して、八聖亭は横に長いのが特徴。
- 月亭八方/ごあいさつ
- 月亭遊方/虚礼困惑騒動(遊方 作)
- 月亭方正/幽霊の辻(小佐田定雄 作)
- 月亭八方/宿屋仇
月亭方正(山崎邦正)さんの上手さに舌を巻いた。八方さんに入門して一年半。今月末には上方落語協会に入会するそう(八方さんからは「一度入ったら抜けられへんで」と釘を刺されているとか。《覚悟を決めろ》ということなのだろう)。邦正さんは本気だ。
大体、入門一年半で桂枝雀さんのネタに挑もうというのだから大胆不敵、只者ではない。座布団の上で七転八倒、オーバーアクションの高座に場内は大爆笑の渦に巻き込まれた。リズム感もいいし、芸歴20年以上のベテランに対して失礼な言い草であることは百も承知で敢えて言わせて貰うなら、「邦正さん、落語のセンスあるよ」
マクラで「今、一番人が怖いんです」というエピソードを振られたのだが、それがちゃんと「幽霊の辻」の中身にリンクしていくのだから、この新人なかなか侮れない。
八方さんの「宿屋仇」はこれが二回目。でも聴いていて実に心地良く、一瞬たりともダレることなく愉しめた。
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