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誰も守ってくれない

評価:F

来年の米アカデミー賞外国語映画部門で日本代表としてエントリーすることが決まっている。映画公式サイトはこちら

「踊る大捜査線」シリーズの脚本を手掛けた君塚良一が脚本と監督を兼任。主演は佐藤浩市、志田未来。

加熱するマスコミ報道、ネットの悪意の描き方は自殺した脚本家・野沢尚の小説および映画「破線のマリス」(江戸川乱歩賞受賞)を彷彿とさせる。逆に言うとテーマが紋切り型・陳腐であり、そこからなんら進歩が見られない。この映画に登場する「おたく」「ネット社会」は現実から乖離している。

佐藤が演じる主人公の行動も明らかに変だ。普通、男の刑事が保護すべき少女を自宅に連れ込んだりするか??何故、婦人警官が付き添わない?これはもはや犯罪的行為である。警察が(柳葉敏郎が経営する)一般人のペンションで少女の証言を聴取しようとするのも不自然。つまり、全てがドラマを盛り上げるための《ご都合主義》に過ぎないのである。それから刑事の恋人(木村佳乃)が精神科医という設定は香港ノワール「インファナル・アフェア」(原題「無間道」、ハリウッドリメイク版は「ディパーテッド」)の模倣だろう。はっきり言う、このシナリオは屑だ。

君塚の演出も下手糞で目を背けたくなる。映画冒頭、スローモーションの垂れ流しから辟易した。煽るような佐藤の顔のクローズアップ・ショットにも反吐が出る。1930年代前半、名匠・山中貞雄監督はこう言った。「クローズアップというのは一つの映画で一ヶ所、多くても二、三ヶ所で用いるからこそ効果がある」誰か、君塚に演出の「いろは」を教えてやってくれ!音楽も安っぽくていただけない。

兎に角この映画を日本代表に選ぶなぞ愚の骨頂、国辱ものである。選考委員の目は節穴か?昨年「おくりびと」は見事、外国語映画賞に輝いたが、今年はノミネートすら、かすりもしないだろう。僕は「ヴィヨンの妻」を出品すべきだったと想うし、百歩譲って「ディア・ドクター」や「沈まぬ太陽」の方がまだ可能性があった。むしろ今年はポン・ジュノの傑作「母なる証明」を選出した韓国が、よりアカデミー賞ノミネートに近い位置にあると言えるだろう。

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