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2009年12月23日 (水)

ジェームズ・キャメロン監督「アバター」3D字幕版

評価:A

「アバター」を観たスティーブン・スピルバーグ監督は、米ハリウッド・レポーター誌の取材に答え「『スター・ウォーズ』以来、最も刺激的で驚くべきSF映画だ」と語った。

この記事を読んで僕は「ホンマかいな!?」と半信半疑だったのだが、観てびっくりした。スピルバーグの発言には些かも誇張がなかった。これは《映像新時代》を実感させる、紛れもない傑作である。CGの登場で進化してきた映画は今、さらなる飛躍の時を迎えた。

Avatar

前夜祭の上映を観たわけだが、シネコンの心地良いシートに座り、そういえばキャメロンの「タイタニック」も公開初日にワクワクしながら観たなぁと懐かしく想い出した。1997年12月、わが古里・岡山でのことである。その映画館”テアトル岡山”は今はもう潰れ、跡地は駐車場になっている。まるで「ニュー・シネマ・パラダイス」みたいな話だ。

シガニー・ウィーバーが出演し、ジェームズ・キャメロン監督、音楽がジェームズ・ホーナーとくれば、どうしても「エイリアン2」のことを誰しもが連想する。「アバター」は正に「エイリアン2」を彷彿とさせる、血湧き肉躍る《戦争映画》であった。「エイリアン2」に出てくるパワーローダー(作業機械)に良く似たマシーンも「アバター」に登場。

「アバター」の悪役、海兵隊の大佐(スティーヴン・ラング)の不死身っぷりには笑える。攻撃されても攻撃されても執拗に主人公を追いかける様は、「ターミネーター」や「エイリアン2」のノリ。すっかり忘れていたが、キャメロンはアクション映画を撮らせたら昔から天下無双のひとだった。彼の健在ぶりが嬉しい。

パンドラに棲む種族ナヴィを人間が武力で侵略しようとする姿は、北米のネイティブ・アメリカンを制圧した欧州人、あるいはマヤ文明やインカ帝国を徹底的に破壊・虐殺したスペイン人に重なる。歴史は繰り返す。《虚構の中のリアリティ》がある、素晴らしい脚本である。

そして特筆すべきは「ロード・オブ・ザ・リング」のWETAが担当した特撮。立体的な3Dで観るとCGにリアルな質感があり、もの凄い臨場感。むしろ3Dでは人間に立体感が乏しいので「アバターでの自分が現実で、車椅子生活の自分の方が夢のように思える」という主人公のモノローグに説得力を感じた。

ジェームズ・ホーナーも久しぶりに卓越した仕事をした。まあ、戦闘シーンで「エイリアン2」そっくりの音楽が流れるとか、主題歌(愛のテーマ)"I See You"のメロディが「タイタニック」の"My Heart Will Go On"によく似ているとかいうのはご愛敬。

アイマックス・シアターでドキュメンタリー映画「ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密」(2003年、上映時間45分)を観た時は、「どうしてこれをわざわざ3Dで撮ったんだろう?キャメロンはよっぽどタイタニック号が大好きなんだな」くらいにしか感想を抱かなかったのだが、今にして想えばあれは「アバター」のための試行錯誤の実験でもあったのだろう。「タイタニック」から12年。長いようで、費やされたその歳月は決して無駄ではなかったことを「アバター」は見事に証明している。

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