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ポーランドの俊英アーバンスキのショスタコ10!/大フィル定期

大阪フィルハーモニー交響楽団(コンサートマスター:長原幸太)の定期演奏会を聴きにザ・シンフォニーホールへ。

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指揮台に立ったのはポーランド生まれのクリストフ・アーバンスキ、27歳である。ピアノ独奏はペーテル・ヤブロンスキで、

  • キラル/オラワ
  • ショパン/ピアノ協奏曲 第2番
  • ショスタコーヴィチ/交響曲 第10番

現代ポーランドを代表する作曲家キラルの曲は、ミニマル・ミュージックの手法で書かれ、フィリップ・グラスやスティーヴ・ライヒ、マイケル・ナイマン、久石譲などの作風を彷彿とさせる。しかしその響きはグレツキ(悲歌のシンフォニー)に通じるものがあり、やはりポーランド人の血だなぁと想った。舞曲風で分かり易く、親しみやすい小品だった。弦楽合奏なのだが、最後は奏者全員の掛け声"HEY !"も飛び出した。まるで淀工の「カーペンターズ・フォーエバー」みたい。

スウェーデン生まれのピアニスト・ヤブロンスキは優しいタッチで弾き始め、決して切れがあるとかメリハリのあるとは言えないけれど、音の一粒一粒が際立ち、キラキラ輝いているような演奏だった。アンコールは繊細なショパン/マズルカ

ショスタコーヴィチ交響曲第10番は謎めいた曲である。スターリンが死去した1953年に着手されたこのシンフォニーはソロモン・ヴォルコフ著「ショスタコーヴィチの証言」によると「スターリンとその時代を描いた」ものだそうだ。しかし現在ではこの回想録の信憑性そのものが疑われており、真実は闇の中である。

また全体を通じてDmitrii SCHostakowitchのイニシャルからとったDS(Es)CHの音形(レ・ミ♭・ド・シ)が重要なモチーフ(モノグラム)として用いられている。こうして考えると、スターリンに翻弄された自己を投影しているとも解釈出来る。

ヘルベルト・フォン・カラヤンは生涯に2度、この第10番をスタジオ・レコーディングしている。しかし帝王カラヤンがショスタコーヴィチの他の交響曲を録音したことは一切ない。この理由もよく分からない。

Kara
上の写真は1969年5月29日、モスクワ音楽院大ホールにおけるカラヤンとショスタコ。この日のプログラムも第10番だった。

キラルショスタコを暗譜で振ったアーバンスキは曲を自家薬籠中のものとしており、見事な統率力でオケを引っ張った。大フィルも機動力をフルに発揮し、普段の実力以上のものを出し切っていたように見受けられた。特にシンフォニー第2楽章の疾走感は凄かった。

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コメント

コメントありがとうございました。
>キラル/オラワ
とあっても、私はどちらが曲名でどちらが作曲者?
そんな状態で聴いたのですが、よかったですね!
大フィル弦セクションの凄い集中力に感動しました。
2部がどちらかといえば管楽器が台頭する曲なので組み込んだのかな?とか指揮者のバランス感覚も感じました。
現代曲はちょっと苦手ですが、アダムスとか循環性のある舞曲風のものって結構好きです。
キラルの他の曲にも興味が湧きました。
ショスタコも大フィルの力量が伝わりましたし、変に重たくなり過ぎず良かったと思います。

投稿: jupiter | 2009年11月21日 (土) 12時21分

jupiterさん、アーバンスキがキラルを取り上げたのは、母国ポーランドの現代を代表する作曲家だからというのもあるのではないでしょうか?

例えば朝比奈隆がベルリン・フィルの定期を振った時、大栗裕/「大阪俗謡による幻想曲」をプログラムに入れたり、小澤征爾がウィーン・フィルと武満徹/「弦楽のためのレクイエム」に取り組んだのと同じ趣向という気がします。

現代音楽でも最近は調性音楽の復興が顕著です。僕がお気に入りなのが吉松隆。彼の音楽は親しみやすくて良いですよ。最近では映画「ヴィヨンの妻」で彼が書いた楽曲が本当に美しかった!是非映画をご覧下さい。お勧めです。浅野忠信がすごくセクシーで、juiterさんにもきっと気に入って頂けるだろうと確信しています。

投稿: 雅哉 | 2009年11月21日 (土) 23時45分

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