フォルテピアノってご存じですか?/ハイドン&モーツァルトの楽しみ
仕事を終え音楽会に行く前に阿倍野の明治屋で一杯。ここは何とも雰囲気のある店だが、地区の再開発で移転が決まっている。きずしや、だし巻きが美味しい。だしの効いた湯豆腐もいける。
それから歩いて「やまちゃん」でクリーミーなたこ焼きに舌鼓を打つ。今日はB級グルメの日。
さて、近鉄電車に乗り換え大阪府松原市「ゆめニティプラザ」へ。
フォルテピアノ:高田泰治、ヴァイオリン:大谷史子、延原武春/テレマン・アンサンブルの演奏で、
- モーツァルト/ディヴェルティメント ヘ長調 K.138
- モーツァルト/きらきら星による変奏曲
- ハイドン/ソナタ 第39番 ト長調 Hob.XVI-39
- モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ 第30番 ニ長調 K.306
- モーツァルト/ピアノ協奏曲 第12番 イ長調 K.414
アンコールは、
- モーツァルト/ディヴェルティメント ニ長調 K.136〜第1楽章
モーツァルトの3つのディヴェルティメント(嬉遊曲)K.136-138はいずれも16歳の年にザルツブルクで書かれている。特にK.136は有名で、第1楽章はTV「のだめカンタービレ in ヨーロッパ」でも使用された。今回はガット弦が張られたクラシカル楽器による演奏。ピッチはA=430Hz(モダン楽器はA=442前後)。
「きらきら星による変奏曲」はフォルテピアノ独奏。使用されたのはモーツァルトが生きていた時代、ウィーンで活躍したアントン・ヴァルターが製作した楽器のレプリカ。典雅な響き。膝レバーによる音色の変化が、また魅力的である(膝レバーの解説、写真は→こちら)。
現在も定期的にドイツに渡り、ミュンヘン音楽大学のクリスティーネ・ショルンスハイムからフォルテピアノ&チェンバロの薫陶を受けている高田さん。本来彼の資質である端正で気品のある(貴族的な)弾き方に加え、最近では華やかなタッチがそれに花を添えるようになってきた。素晴らしいモーツァルト&ハイドンであった。
モダン楽器でヴァイオリン・ソナタを聴くと、ヴァイオリンとピアノが「対立する」(against, vs.)という印象を受けるが、フォルテピアノとクラシカル・ヴァイオリンだと「共に歩む」(walk together)とか「調和する」(be in harmony with)とかいった言葉が最も相応しい気がする。やはりモーツァルトも作曲された当時の演奏様式で聴かないと、そこから零れ落ちてしまうものが間違いなくあるのだなということを痛感した。
延原さんのお話によるとモーツァルトは依然人気があるが、ハイドンだけでコンサートのプログラムを組むとお客さんが全然来てくれないそうである。「一番人気がない作曲家って分かります?テレマンなんです」
また今回演奏されたピアノ協奏曲は今月末にNHKで映像収録され、BS「クラシック倶楽部」で放送される予定であること、さらに来年、日本初の試みとして高田さんのフォルテピアノでモーツァルト/ピアノ協奏曲全曲演奏会シリーズをする予定との発表もあった。これは実に愉しみだ。
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