ざこば 福笑 二人会@繁昌亭
還暦を迎えた(アラカンの)ざこば・福笑二人会を聴きに天満天神繁昌亭へ。
客は一階席のみ入れ、それでも7〜8割程度しか埋まらず些か淋しい興行となった。値段が高め(前売り3,500円、当日4,000円)なのと、主役の二人が一席ずつしかしないというのが影響しているのかも。この二人会は年一回の開催で、昨年の感想はこちら。
- 桂 そうば/手水廻し
- 笑福亭福笑/入院(福笑 作)
- 笑福亭たま/蛸芝居
- 桂 ざこば/薮入り
「入院」は全身骨折で入院している患者をさらにいたぶるという如何にも福笑さんらしい過激なネタ。ドッカンドッカン受けていた。「私とざこば兄さんはプロレスに例えればリングの周囲に張り渡されたロープの上を歩いているような(すれすれの)ところがあるんです。でもバランス感覚はしっかり持っていて、リングの外には絶対落ちない。必ず内に落ちるんです」と。これには納得。
福笑さんは楽屋で今日の客の入りが悪いことを怒っていたそうで、弟子のたまさんからは「めんどくさい二人です」との発言も。
たまさんはある日、笑福亭仁智さんらと飲みながら《ネタがつく》(寄席では前の人がやったネタに類似したもの、同じパターンのサゲはやらないというキマリがある)ことについて真剣に議論していたそうである。そこへ月亭遊方さんが仁智さんに向かって「兄さん、僕は《人がつく》ということもあると思うんです」と熱く語り始めた。つまり寄席で痩せた人間ばっかり出るとか、デブばっかり続くとお客さんが飽きてしまう。痩せ→デブ→痩せといった具合に見た目もメリハリを付けた方が良い。さらに「坊主頭の呂竹とか円笑師匠の後に、髪の毛が頭の隅の方にちょこっとだけ残った噺家が出るというのもいかんのです!」遊方さんらしい《少しずれた発言》に場内も大笑い。本当に愛すべき人だ。
たま版「蛸芝居」はオーバー・アクションが活きていて、エキセントリックですこぶる面白かった。
「薮入り」は先月、動楽亭でネタおろしされたばかり。ざこばさんは噺に登場する丁稚奉公にからめ、3年間米朝師匠宅で内弟子生活を送った想い出を語られた。お小遣いやお年玉を貰うと、米朝さんは「半分は使っていいから半分は貯金しておきないさい」と言い、預金通帳も作ってくれたそうである。しかしその通帳と印鑑が入った引き出しを知っていたざこば少年は、時々こっそりとそれを持ち出してはお金を引き出していたとか。それに気が付いた米朝さんは激怒。結局、年季が明けても貯金はほとんど残らなかったそう。米朝さんからそんな風に大切にしてもらったことへの感謝の気持ちも、恐らくこのネタをしようと決めた理由にあるのだろう。しかし噺の中で、お金を盗んだ疑いが解けて息子が言う「これが本当の藪から棒や」というサゲには納得出来ない様子で、「勉強し直してきます」と。
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