桂よね吉/すいた落語研究所 VOL.4
開口一番、「ようこそ、よね吉の秘密倶楽部へ!」
今日はその、潜入レポートである。
よね吉さんは今年、「東西若手落語家コンペティション」でグランドチャンピオンに輝き(演目は「七段目」)、飛ぶ鳥を落とす勢いの若手噺家。吹田市文化会館「メイシアター」3階和室で開かれるこの会はいわば勉強会。今回の「かぜうどん」 はネタ下ろしだそうである。開場は座布団の間を歩くのも難しいくらいの満席。女性の比率が7-8割くらいで、その大半が2,30代。開場は午後5時半なの に早い人は2時半から並んでいたそう。いやはや、NHK朝ドラ「ちりとてちん」に出演していたことの影響もあるのだろうが、よね吉人気は本当に凄い。高座に上がると「待ってました!」「たっぷり!」の声も掛かる。
- 桂 二条/道具屋
- 桂よね吉/かぜうどん
- 桂阿か枝/金明竹
- 桂よね吉/天神山
阿か枝さんは勝負ネタを持ってきた。これは今年のなにわ芸術祭「新進落語家競演会」新人賞(最上位)を受賞した演目(ちなみに次点である新人奨励賞を受賞したのは笑福亭たま「いらち俥」)。さすが完成度が高い。特に無表情で早口言葉を言う場面が可笑しく、とても受けていた。
「かぜうどん」は故・桂枝雀さんも得意にされていたネタ。ただ枝雀バージョンは本編の冒頭部をカットし、金魚売り、氷売り、さおだけ、こうもり傘の張替えなど、物売りの声を並べたマクラに独特な味があった。一方、よね吉版は冒頭部をカットしないフル・バージョン。これは兄弟子の吉弥さんも同様なので、恐らく師匠である吉朝(故人)の型なのだろう。うどん屋に品が感じられ、これが初演とはとても想えないくらい上手かった。
「天神山」もよね吉さんらしく、シュッとしてスタイリッシュな高座。”変ちきの源助”が一心寺の前を通りかかるとき、”レレレのおじさん”(「天才バカボン」のキャラ)が登場したのには会場バカ受け。ここでよね吉さん、「師匠に習った通りにやってるんですけれど……どないな伝承芸能やねん!」と。帰って調べてみると、確かに吉朝版「天神山」にも”レレレのおじさん”が出てくるようである。いやぁ、面白かった。それから京都は西陣、織屋清兵衛の娘”小糸”が幽霊となり、”変ちきの源助”のもとに押しかけ女房としてやってくる件で、”小糸”の喋り方が歌舞伎口調になっている演出は初めて聴いた。成る程、芝居噺といえば吉朝一門のお家芸。とっても聴き応えがあリ、大満足の会だった。
以前よりふっくらしたよね吉さん。12月の独演会では「たちぎれ線香」を掛けるそうで、「それまでには体を絞ります」と宣言された。
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