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ウィーン音楽祭 in OSAKA 2009/中嶋彰子「月に憑かれたピエロ」

いずみホールへ。ウィーン・フォルクスオーパーなどで活躍するソプラノ歌手・中嶋彰子さんをフィーチャリング(featuring)したコンサート。

まずはニルス・ムースさんのピアノ伴奏で歌曲から。

  • 貴志康一/「さくらさくら」「赤いかんざし」「かもめ」
  • メンデルスゾーン/「歌の翼に」「子守歌」「嘲り」

貴志版「さくらさくら」は冒頭の強烈なff(フォルティシモ)から魅了された。日本的情感豊かな五音音階が耳に心地良く、懐かしいようでまた何だか物悲しくもあり、これぞ関西が生んだ夭折の作曲家・貴志の真骨頂。

子守歌(Wiegenlied)」「嘲り(Glosse)」は今まで全く知られていなかったメンデルスゾーンの歌曲で、生誕200年を記念する今年初めて校訂版の楽譜が出版されたらしい(詳しくはこちら!)。何とこれが本邦初演だそう。「嘲り」は中々、劇的。やっぱりメンデルスゾーンはいいねぇ。

中嶋さんの歌唱は張りがあり、また弱音のコントロールが絶妙。

次にいずみシンフォニエッタ大阪のメンバーで、

  • シェーンベルク/浄夜(弦楽六重奏版)

研ぎ澄まされた叙情、冴え冴えとした透明感のある演奏だった。さすが卓越した奏者が揃っている。月明かりに照らされた幻想的光景が目の前に広がる。

休憩を挟んで中嶋彰子(独唱)、ニルス・ムース(指揮)/いずみシンフォニエッタ大阪で、

  • シェーンベルク/月に憑かれたピエロ

謎めいた、ミステリアスな曲。歌うよりも語るといった雰囲気があり、妖しくもクリムト的である。世紀末的香りがたゆたう。

Klim

そして「月に憑かれたピエロ」(1912年ベルリン初演)を聴きながら僕が強く親和性を感じたのは「三文オペラ」(1928年ベルリン初演)だった。シェーンベルク/ジローの「月に憑かれたピエロ」からワイル/ブレヒトの「三文オペラ」へ。そしてその精神は海を渡り、ブロードウェイでカンダー/エブのミュージカル「キャバレー」へと受け継がれてゆく。ちなみに「キャバレー」の舞台となるのはナチスが台頭しつつあるベルリンであり、ユダヤ人であったシェーンベルクとワイルはナチスの迫害から逃れアメリカに亡命することになるのである。

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