天満天神繁昌亭 三周年特別興行
9月15日、繁昌亭がオープンして丁度3年を迎えた。その記念興行(夜の部)に足を運ぶ。
- 笑福亭たま/ショート落語+動物園
- 桂よね吉/狸賽
- 桂九雀/どぜう丁稚(米沢彦八 原作/荻田清 脚色)
- 露の都/天麩羅(都 作)
- 爆笑歌舞伎「忠臣蔵お軽勘平道行」
- 内海英華/女道楽
- 桂春之輔 /ぜんざい公社
- 桂ざこば/ざっこばらん(四方山噺)
たまさんのショート落語は定期的な実験落語会"NIGHT HEAD"で毎回新作が発表されるが、今回は中でも選り抜きの傑作が連打され、爆笑に次ぐ爆笑だった。
よね吉という噺家はどうしてこんなに華があるのだろうと驚嘆しつつ、あっという間の高座だった。登場するや客席から「待ってました!」「たっぷり!」の掛け声。凄い人気である。「狸賽(たぬさい)」はもう聴き厭たネタだが、彼が演じると生き生きとして新鮮に聴けるのだから不思議だ。生まれ持ったセンスの成せる技なのだろうか?
「どぜう丁稚」は9月12日、御霊神社で開催された「超古典落語の会」でお披露目されたネタ。梅花女子大学の荻田清教授が古い小咄のうち、今でも上演可能なものを発掘し、再構成したもの。勿論、繁昌亭初登場となる。
九雀さんは仏教の五戒(不殺生戒・不偸盗戒・不邪淫戒・不妄語戒・不飲酒戒)について触れ、「噺家は出囃子の太鼓(牛の皮)や三味線(猫や犬の皮)のために動物を殺生し(不殺生戒)、先人のネタを盗み(不偸盗戒)、嘘八百を並べ(不妄語戒)、女性を騙し(不邪淫戒)、打ち上げで一杯(不飲酒戒)。これぞ落語戒(会)です」と。語り口の巧さが光る。特に食べることが戒められているどじょうを和尚が口にするかどうか躊躇いつつ、その美味しさに抗えない葛藤=人間の業(ごう)を見事に演じ切られたのには唸った。
都さんは取り留めのないみやこ噺から創作落語「天麩羅」へ。僕は、いわゆる”大阪のおばちゃん”トークが苦手だ。
「忠臣蔵お軽勘平道行」は「仮名手本忠臣蔵」から道行旅路の花聟(みちゆきたびじのはなむこ)のくだりを。口上が春之輔で、配役は勘平:桂三枝 お軽:林家染丸 鷺坂伴内:月亭八方 伴内の手勢:染二、文三、生喬、染左ほか。なんとも豪華キャストである。染丸さんの所作の美しさ、三枝さんのぎこちなさ、そしてノリノリの八方さんと実に愉しく見応えあり。
ざこばさんは「一文笛」(米朝 作)を予定されていたようなのだが、海外旅行のトラブルなど雑談が盛り上がり、「もう、落語に入れる雰囲気じゃないから(演らなくても)構わんでしょう!」と。些か残念ではあったが、ざこば版「一文笛」は以前聴いたことがあるので、まあいいか。その存在自体が落語みたいな人だから。「彦八まつり」の泥酔騒動といい、ざこばさんのことを《全身噺家》と評しても過言ではないだろう。
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