東欧の響き/大阪フィルハーモニー交響楽団 定期
大阪フィルハーモニー交響楽団(コンサートマスター:長原幸太)の定期演奏会を聴く。客演指揮者はヤクブ・フルシャ、1981年チェコ生まれ。まだ20代である。
曲目は、
- スーク/組曲「おとぎ話」
- アルチュニアン/トランペット協奏曲
- ドヴォルザーク/交響曲 第7番
チェコの作曲家ドヴォルザークとスーク(ドヴォルザークの娘と結婚。名ヴァイオリニスト、ヨゼフ・スークの祖父)に挟まれて、アルメニアのアルチュニアンが演奏されるという構成。
スークは非常に分かりやすく、大人のメルヘンを感じさせる佳作。ポルカはボヘミアの民族色が濃い。やっぱりこういう毛色の変わった《未知との遭遇》は愉しい。
フルシャの指揮は明晰で、手綱を引き締めるべきところはきりりと締め、歌うべきところはしっかりと歌わせる。ドヴォルザークも勢いと生命力に満ち溢れた、文句の付けようがないパフォーマンスだった。
アルチュニアン(1920- )はアルメニア民謡独特の節回し、野性的(ある意味粗野な)リズムの特徴が作品に反映されており、やはり同郷のハチャトゥリアンを彷彿とさせる。トランペットのために書かれた名曲中の名曲である。独奏はドイツからやって来たマティアス・ヘフス。アメリカのトランペッター(例えば元ボストン交響楽団首席トランペット奏者で映画「7月4日に生まれて」やアテネ五輪のファンファーレ"Summon the Heroes"でソロを担当したティモシー・モリソン)のように明るく輝かしい音色ではなく、もっとくすんだ、いぶし銀の響きがする。成る程、これがヨーロッパの味なのかと感心することしきり。
ヘフスのアンコールはルーマニア(ロマ)の作曲家ディニクの「ホラ・スタッカート」。オーケストラ伴奏付き。爽快なテンポでかっ飛ばし、超絶技巧を披露。聴衆を圧倒した。
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コメント
雅哉さん、こんばんは。良い演奏会でしたね。
フルシャくん、20代なんですか!!!若いとは思っていましたが、そこまでとは。ここからどこまでいくのか、極めて興味深いですね。
投稿: ぐすたふ | 2009年9月19日 (土) 22時42分
ぐすたふさん、コメントありがとうございます。
ベネズエラのグスターボ・ドゥダメル(今月、ザルツブルグ音楽祭でウィーン・フィルを振りました)が81年生まれですから、同じ年ですね。イギリスのダニエル・ハーディングといい、凄い才能を持った若い指揮者がどんどん頭角を現しています。世界は広いなぁ。
投稿: 雅哉 | 2009年9月19日 (土) 23時00分