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2009年9月15日 (火)

鈴木秀美/洋館に響くバッハ

大正時代の洋館建築・大阪倶楽部4階ホールで開催された鈴木秀美によるJ.S.バッハを聴く。

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秀美さんは神戸市出身。言わずと知れた世界的バロック・チェリストである。日本人として初めてオリジナル楽器による「バッハ/無伴奏チェロ組曲」全曲をレ コーディングし、2005年に再録音のCDをリリースした際には「レコード芸術」誌・特選盤に選出されている。また最近ではオーケストラ・リベラ・クラシカ を結成し、指揮者としても活躍されている(公式サイトはこちら)。

今回の曲目は、

  • 無伴奏チェロ組曲 第1番
  • 無伴奏チェロ組曲 第4番
  • 無伴奏チェロ組曲 第5番
  • 無伴奏チェロ組曲 第3番~サラバンド(アンコール)

プログラムに記された秀美さんの言葉を引用しよう。

人が何かを語りかけているようなバッハの無伴奏作品は本来、サロンのような場所でこそ、その語り口や声色、言葉遣いの妙が聴き取れます。大ホールでは味わえない親密で緻密な時間をどうぞこの機会にお楽しみ下さい。

スチール弦を張ったモダン楽器が金属を研磨するような冷たく澄んだ音(pure tone)がするのに対し、倍音を多く含むガット弦のバロック・チェロは木彫りの芳香と温もりがある。

秀美さんのチェロは力強く動的である。そしてこの組曲が踊りの音楽であることを思い起こさせる。森を駆け抜ける微風のように爽快で、美しい音色が五臓六腑に染み渡る演奏だった。

第1番と4番がイタリア趣味で書かれているのに対し、第5番はフランス趣味で書かれているそうだ。またアルマンドで登場する付点のリズムは《威厳》とか《栄光》を示し、それはベートーヴェンの時代まで脈々と受け継がれていったという秀美さんによる解説もあった。

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やはりバッハの無伴奏はバロック・チェロかヴィオロンチェオ・ダ・スパッラの演奏に限るなという想いを強くした夜だった。

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