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2009年9月 2日 (水)

大阪クラシック 2009 《3日目》/新企画!客席参加型コンサート

《第32公演》@大阪弁護士会館

サクソフォン:西本 淳、打楽器:高鍋 歩

  • 夏田昌和/西、あるいは秋の夕べの歌
  • デュポア/サーカス・パレード

1曲目はソプラノ、2曲目はアルト・サックスでの演奏。夏田さんの曲は瞑想的で、デュポアは陽気でチンドン屋を彷彿とさせる賑やかな雰囲気。しかし最後は何だか物悲しい。

西本さんは神戸在住のソリスト。「ベルシャザールの饗宴」などで大フィルと共演している。高鍋さんは大阪市音楽団の打楽器奏者、主にティンパニを担当。日本太鼓も登場し、迫力あるバチ捌きは見応えあり。

《第35公演》@カフェ・ド・ラ・ペ

ピアノカルテット「萩原庄司」の演奏で、

  • ドヴォルザーク/ピアノ四重奏曲 変ホ長調
  • ピアソラ/リベルタンゴ(アンコール)

萩原庄司」は萩原夫妻(Pf, Vn)と庄司夫妻(Vla, Vc)のユニット。チェロの庄司 拓さんが大フィルの楽員である。ヴァイオリンの萩原合歓(はぎはらねむ)さんは調べてみると神戸市室内合奏団の楽員らしい。箕面にあるJAZZ BAR( B-flat )を活動の拠点にされているそう。ここで今年のテーマ"B"が登場。

ドヴォルザークは引用されるスラヴの民謡や民族舞曲がいい味出していて、”チェコ国民楽派”の面目躍如。聴き惚れた。また「萩原庄司」アンコールの定番というリベルタンゴがいかしたアレンジで気に入った。リズムに躍動感があり、弦を叩く奏法はピアソラに良く似合う。

《第38公演》@大阪市中央公会堂、有料公演(500円)。

O304

  • フランセ/八重奏曲
  • ベートーヴェン/交響曲第7番 第4楽章(アンコール)

こちらは《第13公演》で紹介した佐久間聡一さんを中心とした弦楽四重奏団にクラリネット、ファゴット、ホルン、コントラバスを加えた面々。マイクを握るのはホルンの村上 哲さん。

フランセに"B"は全く関係ないということで、パラソルまで引っ張り出してきて無理やり気分は"Beach"!

O308

いやぁ、やっぱりフランセは最高!軽妙洒脱でエスプリが効いている。《夢のきれはし》がいっぱい詰まった素敵な音楽。これが生で聴けることの至福。本当にありがとう、大フィルの皆さん。アンコールは先代(朝比奈隆)の十八番、Beethovenをこの編成で。これも大変珍しく、面白かった。

《第43公演》@スターバックス コーヒー 19:00-19:30

O307

  • メルカダンテ/フルート四重奏曲 イ短調
  • ビゼー/「アルルの女」よりメヌエット(アンコール)

フルート(井上登紀)、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという編成。

メルカダンテはイタリアの作曲家。短調なのに陽光が燦々と降り注ぐような明るさがあり、フルートの動きが華麗な曲。これも大阪クラシックがなければ聴く機会は一生ないだろう。そういう意味でとてもありがたい(無料だし)。演奏の面でも文句なし。

曲の途中でカフェの窓ガラスの向こう側に大植英次さん出現! 外で耳を傾けておられる。果たして聴こえるのだろうか? そこへ道路を挟んで向かいにある相愛学園での《第42公演》を終えた長原さん、佐久間さん(Vn)、篠崎さん(Tp)、川浪さん(Tb)らが合流。ニヤニヤしながら中を覗き込む。   

演奏が終わり大植さんがスタバ内に。「去年、ヴィオラの吉田さんから『大植さんが来ると、おいしいところを全部持っていかれてしまう!』と苦情が出たので、今年は大人しく外で聴いていました」「(聴衆に)みなさん、今日はどうもありがとうございます!次の《第44公演》でも何やら面白そうな企画をしているようなので、どうぞお越し下さい」

《第44公演》@大阪市中央公会堂 20:00-21:20、有料公演(500円)。

O203

フルート、オーボエ、ファゴット、クラリネット、ホルンという木管五重奏。

  • ロッシーニ/木管四重奏 (オーボエ抜き)
  • ダマーズ/木管五重奏のための主題と17の変奏曲
  • ライヒャ/五重奏曲 ハ長調 Op.91

司会進行役はフルートの榎田雅祥さん。「木管五重奏は楽器の音質がバラバラなので、どうか調和は求めないで下さい。僕の友人がこの編成の演奏を初めて聴いた時、『まるで家畜小屋だ!』と言いました」

ロッシーニは13歳の作品だそう。明朗な曲調であった。

ジャン=ミシェル・ダマーズ(1928- )はフランス人。榎田さんは2,3年前、作曲家本人に会ったことがあるそう。前衛的な現代音楽の本流に背を向け、新古典主義に基づく優美な旋律が彼の持ち味。主題は古楽的で鄙びた味わいがあり、変奏になるとJAZZ風になったりと、各々個性が異なり面白い。

ライヒャはベートーヴェンと同年、プラハに生まれた作曲家(チェコ名:レイハ)。1817年、パリ音楽院の作曲科の教授になる。榎田さんによればこの五重奏曲は学生の教育用として書かれた可能性が高く、テクニック的に非常に難しいそうである(なんと木管五重奏だけで24曲もあるらしい)。それぞれの楽器が主張し合い、スリリングで耳が離せない。吹き終わって榎田さんは一言、「もうヘトヘトです。二度とこんなプログラムは組みません」

アンコールは、

  • ウィル・オッフェルマンズ/ジャングル・ダンス(空き瓶とフルートのアンサンブルのための)

瓶の口のところに息を吹き込みフルートの様な音を出す。これがリズムを担当。榎田さんが客席にいた大植さんに呼びかけ、指揮をしてもらうことに。空き瓶を吹くのは客席から希望者を募る。9人くらいが手を挙げ舞台の上に。何と全員女性。さらにスタッフも加わる。その中には《第43公演》を終えたばかりのフルートの井上さんの姿も。少しだけ練習し、みな楽譜を真剣な眼差しで見つめながら本番。見事、誰も間違えなかった。

演奏会が終わり、立ち去る聴衆が口々に「今日は愉しかったね!」と言い合っている姿がとても印象的であった。音楽があるところに人々の笑顔がある。そんなことを感じさせてくれた夜であった。

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