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2009年8月 1日 (土)

細田 守監督「サマーウォーズ」

評価:B

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細田 守監督の「時をかける少女」は途轍もない傑作アニメーションであった。公開当時の僕のレビューはこちら。なお、この「時かけ」は日本テレビ系で8月11日に地上波放送が決まっている。未見の方は是非。

その細田監督最新作が「サマーウォーズ」である。映画公式サイトはこちら

映画を観る前は、もしかすると「千と千尋の神隠し」同様、米アカデミー賞を狙えるくらいの作品に仕上がっているんじゃなかろうか?という想いが僕にはあったのだが、少し期待を膨らませ過ぎたようだ。いや、確かに良質なアニメではある。しかし残念ながら前作を越えることは出来なかった。

貞本義行(「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」)のキャラクター・デザインに全く文句はない。

「時をかける少女」で本領を発揮した美術監督の山本二三(「天空の城ラピュタ」「耳をすませば」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」)は離れ、替わりに武重洋二(「ゲド戦記」)が参加しているが、雲の表現とか山本さんはもっと凄かったのに…という口惜しさが残る。

今回は登場人物が多すぎて、確かに各々のキャラは立っているがその分、主人公とヒロインの影が薄くなってしまった。みんなで協力して敵を倒すという展開は正に"Buddy Film"(仲間が一番)であり、細田 守の"ピクサー化"が気になった(これをテーマにしてピクサー・アニメーションに敵うはずもない、ちなみに来年のアカデミー賞長編アニメーション部門は「カールじいさんの空飛ぶ家」でほぼ決まりだろう)。

電脳世界(インターネット上の仮想世界)と現実世界の闘いという設定も「攻殻機動隊」や「イノセンス」、そして細田自身が監督した「デジモンアドベンチャー」等が既にあり、些か古い。

シナリオのご都合主義も困ったものだ。武家の血筋を受け継ぐ旧家、陣内家に其々の部門のスペシャリストが偶然集っているというのは、余りにもお話が出来すぎで白けてしまう。結局、「時かけ」は筒井康隆のしっかりした原作があったのに対し、今回はオリジナル・シナリオであるいうのが両者の明暗を分けた気がする。

静と動の対比が鮮やかで、映像や演出は相変わらず素晴らしいだけに、大変惜しい作品となった。

なお、細田監督は大林宣彦監督のファンとしても知られており(金沢美術工芸大学在学中に「大林宣彦ピアノコンサート」なるものを企画し、それが縁で映画の世界に入ったという)、本作が舞台となる長野県上田市は大林監督が映画「理由」「告別」「淀川長治物語-サイナラ」等をロケした地でもある。

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コメント

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投稿: まゆりんちゃん | 2009年8月 3日 (月) 12時17分

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