イタリアよりロレンツォ・ギエルミ登場/バッハ・オルガン作品シリーズ@いずみホール
いずみホールでバッハ・オルガン作品連続演奏会Vol. 5を聴いた。
いずみホール音楽ディレクターで国立音楽大学教授の磯山 雅さんのお話もあり、ドイツ・アルヒーフ・ライプツィヒ所長のクリストフ・ヴォルフ氏の推薦で毎回異なるオルガニストが来日する。以前このシリーズを聴いた感想は下記。
今回は「ライプツィヒの巨匠バッハ」という副題が付けられ、ライプツィヒ時代の作品が取り上げられた。現在ミラノの聖シンプリチアーノ教会のオルガニストを務めるロレンツォ・ギエルミが登場。
プログラムは「前奏曲とフーガ ホ短調 BWV548」のプレリュードで始まり、最後はフーガで締めくくられ、その間にコラールを並べるという構成。また休憩後の後半冒頭は「幻想曲とフーガ ハ短調 BWV547」も演奏された。これはバッハが生前オルガン・コンサートを行った時の配列に倣ったものとなっている。
前奏曲やフーガは格調高く峻厳と聳え、音の大伽藍を現前する。その一方で、コラールはよりシンプルで穏やかに響き、安らかな信仰心を奏でる。大変聴き応えのある充実した内容であった。オルガンの多彩な音色に魅了された。またギエルミのテクニックが素晴らしく、鈴木雅明、トン・コープマンなど含め、僕が今まで実演を聴いたオルガニストの中で最高のパフォーマンスであった。
アンコールで演奏されたスカルラッティ(イタリア)のソナタは軽やかで、まるで鳥の囀りのようで良かった。
アントン・ブルックナー、セザール・フランク、カミーユ・サン=サーンス、ガブリエル・フォーレらは教会のオルガニストだった。またエドワード・エルガーの父親もオルガニストだった。だから彼らの作品には明らかに教会音楽の響きが刻印されている。バッハのオルガン作品を知らなければ、19世紀近代ヨーロッパの音楽も理解出来ない。そういう想いをいっそう強くした。
次回は2010年1月14日(木)。「フーガの技法」が取り上げられ、アメリカを代表するオルガニスト、ジェイムズ・デイヴィッド・クリスティが登場する。
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