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2009年7月 4日 (土)

井上道義/大フィル「夏の夜のメンデルスゾーン」

いずみホールで大阪フィルハーモニー交響楽団(コンサートマスター:長原幸太)によるメンデルスゾーン生誕200周年記念/特別演奏会を聴く。会場はほぼ満席。

指揮はミッキーこと、井上道義さん(→愛称に関して本人の弁)。先日、井上道義/オーケストラ・アンサンブル金沢が演奏するベートーヴェンの第七シンフォニーをBSで視聴していたら、バロック・ティンパニを使用したピリオド奏法だったので驚愕した。ミッキー、いつの間にスタイルを変えたんだ!?以前、大フィルと組んだ第九を聴いた時は通常のモダン奏法だったのに……。そういう風に非常に柔軟な考えを持ったマエストロである。

Inoue

  • メンデルスゾーン/演奏会用序曲「真夏の夜の夢」
  • メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
  • メンデルスゾーン/劇音楽「真夏の夜の夢」

ヴァイオリン協奏曲に登場したのは韓国生まれのシン・ヒョンスさん。彼女は2008年にロン・ティボー国際コンクールで優勝している。同コンクールで優勝した日本人には、つい先日ベルリン・フィル第1コンサートマスターに内定した樫本大進さん(1996年)、そして史上最年少の16歳で優勝した山田晃子さん(2002年)がいる。また韓国は優れた弦楽奏者たちを輩出しており、その代表がチョン・キョンファ(指揮者・ピアニストとして名高いチョン・ミュンフンの姉)であろう。

僕は大阪シンフォニカーの定期で聴いた山田晃子さんの演奏の方が好きだが(そのコンサートのレビューはこちら)、ヒョンスさんも好演だった。各小節の区切りが明確であり、歯切れの良い演奏と言えるだろう。ただ欲を言うならば、山田さんのようにもっとエレガントであるとか、神尾真由子さんのように力強く情熱的であるとかといった特徴が欲しかった。これからどのようなバイオリニストになろうと目指しているのか、その方向性が見えてこない。

ミッキーの指揮は彼女に寄り添うだけではなく、挑みかかるような攻めの姿勢、自己主張もあり、なかなかスリリングで面白かった。

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真夏の夜の夢」は序曲と劇音楽が切り離されて演奏されたが、実は序曲が作曲されたのはメンデルスゾーンが17歳で、劇音楽の方は34歳のときに初演されている。

また、シェイクスピアの戯曲A Midsummer Night's DreamのMidsummer Nightとは本来、「夏至祭(6/24)」前夜のことだそうだ。日本の夏の夜は真っ暗闇になるのでお化けが出るが、緯度の高い北ヨーロッパでは夏至の夜も薄明かりが続くから妖精が現れるのだと、語り部の朝岡 聡さん(元・テレビ朝日アナウンサー)が解説された。ちなみに朝岡さんはリコーダー歴30年という古楽ファン。鈴木秀美/オーケストラ・リベラ・クラシカの熱心なサポーターでもある(→朝岡さんのブログへ)。

ミッキーの指揮は軽妙なテンポ感で、弾力とダイナミクス(強弱変化)に富み、まこと申し分のないものであった。演奏会用序曲では冒頭、管楽器が奏でるおっとりして夢見るような和音に続き、悪戯好きの妖精たちがこちょまか飛び回る様子を弦楽器が躍動的に描き、そのコントラストが鮮やか!大フィルのアンサンブルもさすがで、特に序曲終結部、ノン・ビブラートで奏でる弦の音色がとても美しかった。さらに、マイクを握ったミッキー朝岡さんの息の合ったやりとりも愉しかった(今回の台本はミッキー自身の手によるもの)。

照明を落として雰囲気作りをしたり、衣装をまとった2人のソプラノ(天羽明恵松田奈緒美)と大阪フィルハーモニー合唱団(女性のみ)による小芝居もあり。学芸会的でほのぼのとした温もりがあり、素敵な夏の夜の夢を見させてもらった。

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