桂吉弥・柳家三三 ふたり会(6/11、12)
二日間にわたり天満天神繁昌亭で開催された桂吉弥&柳家三三のふたり会を聴いた。
一日目、
- 二乗/普請ほめ(牛ほめ)
- 三三/宮戸川(前半のみ)
- 吉弥/遊山船
- 吉弥/軽業
- 三三/唐茄子屋政談
二日目、
- 吉の丞/米揚げ笊
- 吉弥/短命
- 三三/締込み(盗人の仲裁)
- 三三/道具屋
- 吉弥/皿屋敷
吉弥さんは「ちりとてちん」に続き、平成21年度後期NHK連続テレビ小説「ウェルかめ」に《寺の人》という役名で出演されるそうで、その徳島ロケに参加した時のエピソードなどを面白おかしく披露された。髪も役作りのため随分短くなった。それからダイエットの効果もそろそろ出てきたんじゃないだろうか?
(上の写真は今年3月、繁昌亭の無料休憩所「輪茶輪茶(わちゃわちゃ)庵」に掲載されていたもの)
さて、吉弥さんの高座で今回一番完成度が高いと想ったのは「短命」。やはり場数を踏んでいるだけあって、途中噛むこともなく滑らかな口調。以前聴いたときよりもスピード感が倍増しているように感じた。
あと傑作だったのは「遊山船」のマクラ。天神祭の日に同じ米朝一門の桂む雀さんと、屋形船で司会の仕事をされた時のことを話された。吉弥さんらが乗ったのは阪神百貨店エメラルドカード顧客の船。パイプ椅子、むき出しのテーブルに並べられた弁当やビール。一方、その横に停泊していたのが阪急百貨店ペルソナカードの船だったそうで、テーブルクロスが敷かれその上にフルコースの料理やシャンパングラスが用意されていたとか。そして宝塚歌劇の男役と娘役の生徒が一人ずつ乗り、テーブルを廻っていたそうだ。「同じ百貨店でも、どうしてこうカラーが違うのでしょうか?まさかこの二つがくっつくなんて、その時は想像もしていませんでした」
東京からやって来た三三さんは、その雲の上を歩くような入退場の仕方と同様、飄々として軽やかな語り口で見事だった。緊張と緩和の空気を醸し出す按配(さじ加減)が絶妙で、バランス感覚に長けた噺家だと想う。
前から何度も書いているが僕は江戸落語の人情噺が嫌いである。しかし三三さん演じる「唐茄子屋政談」なら、最後まで飽きることなく聴けるのだから大したものだ。
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コメント
吉弥さん、またまた朝ドラ出演ですか。
朝ドラも「ちりとてちん」ほどの傑作はなかなか出ませんが。
阪神百貨店と阪急百貨店のマクラの話、ここで読んでても笑いそうになりました。確かにおかしいですね。あの二つの会社が一緒になるなんて予想した人、誰もいなかったでしょうけど、阪急の屋形船の豪華さが可笑しい。阪神の屋形船に乗った人はうらやましかったでしょうね。
投稿: ぽんぽこやま | 2009年6月13日 (土) 17時40分
ぽんぽこやまさん、今回吉弥さんはあくまで《寺の人》ですから、まあゲスト出演程度のものだろうと想われます。ヒロインが悩み事があると寺にやってきて、その相談にのるといった役柄だそうです。
投稿: 雅哉 | 2009年6月13日 (土) 18時29分
でしょうね。役名を見てそう思いました。
ゲスト出演でも楽しみだな。
「ちりとてちん」関連で最近面白かったのは、ファンの集いで知り合ったのが縁で結婚したカップルがいたとか。なんと披露宴をNHK大阪のスタジオ見学コースでやったそうですね。その日に限り「貸切のため、本日臨時休業させていただきます」と告知されてました。
投稿: ぽんぽこやま | 2009年6月15日 (月) 22時43分
そうそう、これはニュース記事で知ったのですが、吉弥さんは8/29からスタートするNHK土曜ドラマ「再生の町」にも出演されるそうですよ。主人公の幼なじみで喫茶店の店主役だとか。
投稿: 雅哉 | 2009年6月16日 (火) 01時50分
「ちりとてちん」以来、吉弥さんは「生活笑百科」にも出演するようになったし、BKづいていますよね。
「新撰組!」にも出演しましたけど、こういう他流試合を経て、元の芸の肥やしになればいいですよね。
投稿: ぽんぽこやま | 2009年6月16日 (火) 19時48分
吉朝一門のお家芸は芝居噺ですから、役者として芸を磨くことは噺家としても意義のあることだと想います。
投稿: 雅哉 | 2009年6月16日 (火) 20時54分