スター・トレック
評価:A
ニューヨーク・タイムズなどアメリカ公開時のレビューが各紙絶賛の嵐。そしてIMDb(インターネット・ムービー・データベース)のユーザー評価も現時点で8.4(/10)という高評価。だから相当期待はしていたが、いやぁ、これは凄い!「2001年宇宙の旅」「スター・ウォーズ」「エイリアン」「未知との遭遇」にも匹敵する、SF映画史に間違いなく名を残すエポックメイキングな大傑作である。もう最初から最後まで息つく暇なく、アドレナリン出っ放し。
僕は1966年から放送が始まったテレビシリーズ「宇宙大作戦」について全く知らないし、'79年に第1作が公開された劇場映画版(計6作が製作された)も観ていない。ただし、映画のために書かれたジェリー・ゴールドスミスの音楽は大好きなのでサントラCDは所有している。なおテレビ版のテーマ曲も有名だが、こちらを作曲したのはアレクサンダー・カレッジ。カレッジはしばしば、ゴールドスミスが書いた映画音楽のオーケストレーション(ピアノ譜から管弦楽用に編曲する仕事)を担当している。
だからトレッキーとはかけ離れた立場の僕でさえ今回の新作を十分愉しめたのだから、如何に出来が良いかお分かり頂けるだろう。映画公式サイトはこちら。
まずは畳み掛けるスピード感が圧巻の演出を称賛すべきだろう。エンタープライズ号のフォルムの美しさを舐めるように撮る手腕もさすが。監督はテレビ「エイリアス」「LOST」で一世を風靡し、「M:i:III」で映画界に殴り込みを掛けたJ.J.エイブラムス。第2作以降はプロデュースに回ったりせず、是非次もメガホンを取って欲しい(でも人気者だし企画が目白押しなので難しいかも……)。
脚本の素晴らしさも特筆に価する。カーク船長出生時のエピソードから始まり、ミスター・スポックの幼少児のトラウマ、母親の救出作戦などテンポ良くポンポン話が展開してゆく。カー・チェイス、銃撃戦、空中落下作戦、剣術の闘い、モンスターの襲撃、惑星大爆発、ブラックホールの恐怖など、見所てんこ盛り!上映時間126分の中によくぞこれだけ詰め込んだと唖然とする。もう満腹でげっぷが出そう。エンタープライズ号乗員各々のキャラが立っているし、伏線の張り方も上手い。
特に感心したのは、タイム・パラドックスという反則技を使ってでも、テレビシリーズから劇場版までミスター・スポックを演じてきたレナード・ニモイを出演させたことだろう。旧スポックが新スポックに直接、人類の未来を託す……この場面はトレッキーでなくとも感動的ですらある。パラレルワールドという設定なので、旧シリーズを決して否定していないことになる。
そしてエンド・クレジットになって初めて、アレクサンダー・カレッジが作曲した「宇宙大戦争」のテーマが高鳴る。これに心躍らずにいられようか!マイケル・ジアッチーノ(「M:i:III」、「Mr.インクレディブル」「レミーのおいしいレストラン」)が本作の為に書いた新テーマも文句なしに良い(なお、ゴールドスミスのテーマは使用されていない)。
必見、そして必聴。
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