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2009年6月15日 (月)

聴いておきたい映画主題歌 ベスト25

映画音楽ベスト50に続き、今回は主題歌(挿入歌)を選ぼう。やはり1人の作曲家につき1曲という原則を遵守した。また、映画のために書かれたオリジナル作品のみを対象としている。例えば「ボディーガード」"I Will Always Love You"とか「カサブランカ」"As Time Goes By"( 時の過ぎ行くままに)、あるいは「卒業」"The Sound of Silence"などは、映画製作前から存在するヒット曲なので、除外した。なお、各々のタイトルをクリックすれば何かが起こるかも?

  1. 「ふたり」草の想い
  2. 「オズの魔法使い」虹の彼方に
  3. 「ホーム・アローン」Somewhere in My Memory
  4. 「ピノキオ」星に願いを
  5. 「白雪姫」いつか王子様が
  6. 「アラジン」A Whole New World
  7. 「追憶」The Way We Were
  8. 「アルフィー」アルフィー
  9. 「スラムドッグ$ミリオネア」Jai Ho
  10. 「シェルブールの雨傘」I Will Wait For You
  11. 「ライオンキング」Circle of Life
  12. 「ティファニーで朝食を」ムーン・リバー
  13. 「男と女」男と女
  14. 「フラッシュダンス」What a Feeling
  15. 「ワーキング・ガール」Let the River Run
  16. 「トップ・ハット」頬よせて
  17. 「ゴールド・ディガーズ36年」ブロードウェイの子守歌
  18. 「アラモ」遥かなるアラモ(The Green Leaves of Summer)
  19. 「8 Mile」Lose Yourself
  20. 「若草の頃」トロリー・ソング
  21. 「ニューヨーク、ニューヨーク」テーマ
  22. 「アメリカ物語」Somewhere Out There
  23. 「007 ロシアより愛をこめて」ロシアより愛をこめて
  24. 「有頂天時代」今宵の君は
  25. 「踊らん哉」Let's Call the Whole Thing Off

ディズニー映画から4本(ピノキオ白雪姫アラジンライオンキング)。フレッド・アステアが歌ったのが3曲(トップ・ハット有頂天時代踊らん哉)で、ジュディ・ガーランドが2曲(オズの魔法使い若草の頃)、さらにジュディの娘ライザ・ミネリが1曲(ニューヨーク、ニューヨーク)という結果になった。

ジュディ・ガーランドが歌う「スター誕生」('54)"The Man That Got Away"もどうしても入れたかったが、これを作曲したのが「虹の彼方に」のハロルド・アーレンだから断念した。

また番外として、エッダ・デル・オルソによる(歌詞のない)スキャットが限りなく美しい、エンニオ・モリコーネ作曲の「ウエスタン」('68)"Once Upon a Time in the West"を挙げておきたい。

「草の想い」大林宣彦(作詞)、久石 譲(作曲)。久石さんの楽曲なら宮崎 駿(作詞)の「君をのせて」(天空の城ラピュタ)や「となりのトトロ」の方が一般的だろう。勿論、何れも名曲である。なお、「草の想い」の1番の歌詞は大林監督、2番は久石さんが歌っている。

2001年に全米レコード協会が選定した「20世紀の名曲」(Songs of the Century)で堂々第1位に輝いた「虹の彼方に」が、実は世に出なかったかもしれないという誕生秘話がウィキペディアに掲載されている。面白いので是非お読み下さい→こちら

ジョン・ウイリアムズが作曲した「ホーム・アローン」はクリスマスの名曲の宝庫である。"Somewhere in My Memory"も好きだし、"Star of Bethlehem"も捨てがたい。またジョンが書いた歌曲なら映画「イエス・ジョルジョ」 (日本未公開、DVDおよびサントラCD未発売)の"If We Were In Love"もいい。映画に主演した三大テノールの一人、ルチアーノ・パバロッティが英語で歌い、アカデミー賞にノミネートされた。

アラン・メンケンなら代わりに「美女と野獣」、あるいは「リトル・マーメイド」"Part of Your World"や「ポカホンタス」"Color of the Wind"でも良い。なお、「アラジン」でジャスミン姫のパートはミュージカル「ミス・サイゴン」のリア・サロンガが歌っている。

バーブラ・ストライザンドの名唱が印象深い"The Way We Were"を書いたマーヴィン・ハムリッシュはミュージカル「コーラスライン」の作曲家としても名高い。その代表曲"ONE"は「KIRIN一番搾り生ビール」のCMで使用された。そうそう、映画「アイス・キャッスル」の主題歌"Through the Eyes of Love"(この愛に生きる)も好きだなぁ(映画は未見)。

ハル・デヴィッド(作詞)バート・バカラック(作曲)のコンビは珠玉の名曲を沢山生み出した。僕が一番好きなのはカーペンターズ版が有名な"(They Long to be) Close to You"(遥かなる影)。これは映画「愛しのロクサーヌ」「メリーに首ったけ」などにも登場するが、残念なことに映画発祥の曲ではない。主題歌の人気投票で必ず上位に来るのが「明日に向かって撃て」"Raindrops Keep Fallin' On My Head"(雨にぬれても)なのだけれど、僕は余り気が進まない。そこで「アルフィー」を。これなら文句なしにいい。

シェルブールの雨傘」のミッシェル・ルグランに関しては、オスカーを受賞した「風のささやき(華麗なる賭け、The Thomas Crown Affair)とか、僕の偏愛する「愛のイエントル」(バーブラ・ストライザンド 監督・主演・歌)から"Papa, Can You Hear Me ?"や"A Piece of Sky"なんかも入れたかった!

ヘンリー・マンシーニは「ティファニーで朝食を」や「酒とバラの日々」、あるいは「シャレード」「いつも2人で」など選択肢が多くて迷った。

アーヴィング・バーリンが映画「スイング・ホテル」('42)のために書いた、"ホワイト・クリスマス"も入れたかったが、同じバーリンの"Cheek to Cheek"(頬よせて)はどうしても外せなかった。フレッド・アステアがこれを歌う場面は、映画「グリーン・マイル」にも登場する。

ブロードウェイの子守唄はむしろ、舞台ミュージカル「42nd Street」の方でお馴染みかも知れない。第1幕のクライマックスに歌われる、その群舞(タップ・ダンス)の迫力は圧巻。「生きてて良かった!ミュージカル最高!!」と想わず叫びたくなる瞬間だ。

アラモ」を作曲したディミトリー・ティオムキンはロシアのウクライナ出身。だから曲調にどことなく哀愁が漂い、まるでロシア民謡みたいな味わい。アカデミー歌曲賞ノミネート。

エミネムの"Lose Yourself"はヒップホップ(ラップ)・ミュージックが初めてアカデミー歌曲賞を受賞したという意味において、衝撃的だった。新しい時代の到来を告げる歌と言えるだろう。「8 Mile」は彼の半自伝的映画で中々面白い。

若草の頃」には"Have Yourself A Merry Little Christmas"というクリスマスの名曲もある。

ジェームズ・ホーナーの曲なら大概の人が「タイタニック」の"My Heart Will Go On"を挙げるだろう。でもへそ曲がりの僕は、敢えてアニメ「アメリカ物語」から。アカデミー歌曲賞ノミネート。

ジョン・バリー作曲の「ロシアより愛をこめて」は、シャーリー・バッシーのパンチが効いた歌が印象的な「ゴールドフィンガー」に置き換え可。またマット・モンローが歌う、「さらばベルリンの灯」の主題歌も秀逸。

アカデミー賞に輝いた歌「今宵の君は(The Way You Look Tonight)」はジュリア・ロバーツが主演した「ベスト・フレンズ・ウェディング」でも印象的に使われていた。またこの映画はハル・デヴィッド&バート・バカラックの名曲オン・パレード!とてもハッピーな気持ちになれる。お勧め。

踊らん哉」はアイラとジョージのガーシュウィン兄弟による楽曲。2人の掛け合いが愉しい。アステアが歌う"They Can't Take That Away from Me"はアカデミー歌曲賞にノミネートされた。

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好きな歌を選定するという作業はとても愉しく、豊かな時間であった。この記事を締め括るにあたり、やはり次の言葉ほど相応しいのもは他にないだろう。

これから先の人生で、 どんなことがあるのか知らないけれど、いとしい歌の数々よ、どうぞぼくを守りたまえ。  
(芦原すなお 著「青春デンデケデケデケ」より)

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コメント

いつも楽しませて頂いております。鯉太郎です。

この前の「映画音楽私的50」と今回の「聴いておきたい映画主題歌 ベスト25」を拝見し、驚愕しております。よくもここまでと。

そこで雅哉さんに伺いたいのですが、雅哉さんは、一本の映画をどのように見られるのですか?例えば僕などは映画を見て感動しても、その映画音楽や映画主題歌はもちろん心には残りますが、ここまでそれ単体で残る事、残すことは出来ません。

雅哉さんは映画を楽しんだ後、映画音楽として、また映画主題歌として、映画を再度見直されたりするのでしょうか?

う〜ん、うまく言えないのですが。

とにかく、二つの記事にビックリしています。

投稿: 鯉太郎 | 2009年6月15日 (月) 17時12分

追記です。
>各々のタイトルをクリックすれば何かが起こるかも?

思いっきり楽しませて頂きました。ありがとうございます。特に
>「アメリカ物語」Somewhere Out There
>「アラモ」遥かなるアラモ(The Green Leaves of Summer)

には想い出がたっぷり。

涙がでました。本当に嬉しかった。

投稿: 鯉太郎 | 2009年6月15日 (月) 17時17分

更に追記です。ごめんなさい。

>「フラッシュダンス」What a Feeling

忘れてました。これも感動の嵐。

この映画は、実はブラジルで見たのです。英語がさほど分からず、字幕はブラジル語(ポルトガル語)。ブラジル語もさほど分からなかったので詳細は分からなかったのですが、それでもダンス・音楽・ジェニファー・ ビールスのかわいらしさで、十分理解できる映画でした。あの頃の匂いまで甦ってきました。本当に感謝!

投稿: 鯉太郎 | 2009年6月15日 (月) 17時22分

鯉太郎さん、この記事を愉しんで頂けたようで、僕もとても嬉しいです。時間を掛けて書いた甲斐がありました(準備に2週間くらい費やしました)。

映画の見方ですか?そうですね、嘗てコルンゴルトはオペラ作曲家から映画音楽の世界に身を転じました。僕は《映画は現代のオペラである》と考えています(総合芸術という意味で)。「スター・ウォーズ」のことをスペースオペラ(Space Opera)と言ったりするでしょう?

映画を観ながら同時に音楽を愉しみますし、時には単独でサントラCDを聴きます。サントラは持っているけれど映画本編は観たことがないという作品も、実は沢山あるんですよ。

投稿: 雅哉 | 2009年6月16日 (火) 01時36分

鯉太郎さん、はじめまして。
私もここまで残るものかなと感心していますが、やはりここに挙げられた曲ぐらいになると、どこかで耳にしているものが多いですね。
主題歌はやはり心に残るものが多いですし、映画音楽も意外とテーマ曲が繰り返し流れるので、BGMとして映画に関係ないシチュエーションで流れても、映画を思い出すことは多いです。
ヘンリー・マンシーニなら「ひまわり」とか、聞くだけで泣けてきます。

> フレッド・アステアがこれを歌う場面は、映画「グリーン・マイル」にも登場する。

こういうのを発見するのも愉しいですね。「コーラスライン」の「愛する日々に悔いはない」が映画「普通の人々」のファミリーパーティの場面で歌われたり・・・。

投稿: ぽんぽこやま | 2009年6月16日 (火) 10時07分

映画に登場するミュージカル・ナンバーで僕が印象深かったのは「ユー・ガット・メール」です。少女が家族の前で、「アニー」のトゥモローを歌う場面があります。それがとっても可愛らしかったです。

この映画は脚本・監督のノラ・エフロンが子供の頃、両親に連れて行ってもらったブロードウェイ・ミュージカル"She Loves Me"の感動が反映されているので、その想いがこの場面に込められているのでしょう。

そうそう、「コーラスライン」と言えば9月に兵庫芸文でブロードウェイからの来日公演がありますね。とても愉しみです。ぽんぽこやまさんは「ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢」はもうご覧になりました?既にDVDが出ています。涙なしには決して観られない、感動のドキュメンタリー映画です。

投稿: 雅哉 | 2009年6月16日 (火) 21時04分

映画館が限られていたので見られませんでした。
先日DVDレンタルの店に行ったら並んでましたので、近々借りて見たいと思っています。
「コーラスライン」はロングラン終了のときにテレビ朝日で特別番組もありましたね。

投稿: ぽんぽこやま | 2009年6月17日 (水) 06時01分

映画の主題歌ってことで
映画の舞台が出身地がニュージャージー州
だということでブルース・スプリングスティーンが
主題歌を書き下ろしたという「レスラー」について
ちょっと。

人気のピークも過ぎたし、歳をとって肉体的にもボロボロ。でも不器用ながらもプロレスラーとして生きようとする、男の姿に胸を打たれました。
泣ける、というより胸に染みるという感じでしたね。

そういえばスタジオ側はこの映画の主演を
ニコラス・ケイジにしようとしたらしいけど
彼じゃちょっとねぇ・・・
やっぱこの役にはかつてのセクシー男優
ミッキー・ローク以外には考えられないですね。
かつての花形レスラーのランディという役柄と
ミッキー本人のキャラがシンクロしてる感じが
してとてもいいんですよ。

投稿: S | 2009年6月20日 (土) 20時53分

Sさん、コメントありがとうございます。

「レスラー」は近々観に行きますよ。久しぶりのミッキー・ローク、愉しみにしています。レビューは必ず書きます。

ところでブルース・スプリングスティーンの主題歌はゴールデン・グローブ賞を受賞しましたが、アカデミー賞にはノミネートすらされませんでしたね。

投稿: 雅哉 | 2009年6月20日 (土) 21時53分

あ、あとちょっと付け足しです。
「レスラー」の町山智浩氏のレビューがいいです。
「プロレスとはなんたるか」という視点を
踏まえた上での作品全体を包括する文章に
映画を見た後なるほどと思えること間違いなしです。
このレビューはパンフに載ってますので
「レスラー」見に行ったらパンフを是非とも
ゲットして欲しいですね。

あと映画の主題歌というと、個人的に好きなのは
「サウスパーク」の劇場版のミュージカル・ナンバーですかね。
作詩が「サウス」の作者の1人のトレイ・パーカーで作曲が「ヘアスプレー」のマーク・シェイマンなので
狂った名曲が出来てしまったという。
特にお気に入りは「アンクル・ファッカ」ですね。

マーク・シェイマンは「チーム・アメリカ」では
方向性の違いからか途中降板したみたいだけど
またマット・ストーンとトレイ・パーカーと組んで
ミュージカル映画やって欲しいとは思います。


投稿: S | 2009年6月21日 (日) 10時32分

僕は基本的に映画のパンフレットは買いません。高すぎるし、今は気に入った映画ならDVDかブルーレイで丸ごと所有出来る時代ですから。

それから「サウスパーク」劇場版は僕も大好きです。我が家にDVDあります。僕のお気に入りは「レ・ミゼラブル」をパロディにしたナンバーです。そういえば"Blame Canada"(カナダのせいにしろ)はアカデミー歌曲賞にノミネートされましたね。それから「サウスパーク」テレビ・シリーズの方では、バーブラ・ストライザンドが巨大ロボに変身して世界征服を企むという回に抱腹絶倒しました。

マーク・シェイマンとマット&トレイはもう2度と組むことはないでしょう。「チーム・アメリカ」で喧嘩別れしたし、シェイマンが大物になりすぎました。「ヘアスプレー」でトニー賞を受賞し、現在はブロードウェイ・ミュージカル「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」を準備中です。

投稿: 雅哉 | 2009年6月21日 (日) 11時18分

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